第2話 夜行列車で

「ゆうべ楽しかったねー」れーみぃは

岸壁から遠くの岬を見ながら。

北の海は、れーみぃたちの住んでいるあたりの

南の海より、色が濃い緑みたいに見えて


涼しい地方らしい。




「そだね、夜行列車も初めてだったし」リサは

ゆうべを思い出す。


行き止まり式のホームに止まっている

青い列車と機関車。


機関車は四角くて、窓のあたりがクリーム色。

客車は紺色で

窓の下に銀色のストライプ。

ステンレスの帯らしい。



それに、夜の10時に乗り込んで。


こちらについたのが朝の7時。


のんびり走ってて。距離はそれほどでもない。




「うん、お部屋も綺麗だったし、4人一緒で楽しかった」めぐは、にっこり。



12両編成の、7号車の4人個室だった。

2段ベッドの向かい合わせで、廊下に仕切の硝子扉がある。

ヨーロッパの寝台車によくあるタイプ。



「シャワーもあったしね」Naomiは、長い髪を

風に遊ばせて。


4号車はロビーとシャワー室。



5号車は食堂車だったが、夜10時なので

軽食とお酒の時間。


高校生はご遠慮(笑)。



モーニングセットは食べられた。




「みんな一緒だと楽しいね、どこ行っても」



この北の町は、静かなところで

たんぼと畠が一杯。




たまたま、工場があったのは


薬を使って石油を綺麗にする、そういう頃に

この海岸で取れた石油を精製する薬を作ってたらしい。


時代の流れで廃止になったけど

蒸気機関車が、この国で最後に作られた

もので、保存したいけれど


誰でも出来る事でもないし、企業で

するほどお金にもならないから

国立鉄道学校の実習として使われた、と言う訳。


たまたま、参加希望の貼紙をみた

れーみぃが、応募した。


他に希望者もなかった(夏休みなので

遊びたい、と思うのがふつう)



もっとも、鉄道学校だから

クラブがあったり、勉強を

する人も居た。



元々、みんなで何か作ってみたいと

思ってた4人だったので



これが成績になるなら(笑)それもいいか。



と。




うまく保存鉄道になれば、そのまま払い下げで

自分達で運営できると言う話。




収益になれば、と言う事だけれども。




そうすれば、学校としても名誉な事になるので



学内ベンチャー企業になる(つまり、就職先になる訳)。




普通に学校に行っていれば、鉄道会社には

多分入れるけど。




自分達で初めての事をするのも、面白いと

4人は

思った。






それで、夜行列車に揺られて来たと言う訳。




「昨日の夜は、食べ過ぎちゃったね」と、リサはお腹を撫でて。



4人の中では、背丈は中くらい。170cmくらいかな。この国の17才では普通。


テニスが好きなので、ちょっと日焼けの顔は

面長。さらさらの髪は細くて、陽射しだと茶色に見えるくらい。


左右でさらりとまとめている。


おじいちゃんが国鉄職員。運転士志望。





「駅のそばに一杯あったものね、お店」Naomiはスーパーモデルみたいな体型で

173cm、黒い瞳で

黒い髪は豊か、綺麗。

本当にモデルみたいなので、学内でも

ファンの女の子が多い。


日本人みたいな名前だが、そうではなく

聖書にある「喜び」と言う意味だとか。



おじいちゃんは郵便局員だった。

機械系職場希望の、女の子としては

珍しいタイプ。




「そうそう。改札の横の洋食のお店。

歴史あってよかったね、オムライス美味しそうだったっけ」めぐは、少し小柄だけど

163cm。図書館が好き。


前髪ぱっつん。細い髪をボブにしている。



駅員志望。




「ハヤシライスは美味しかったよー」れーみぃは4人の中では小柄な160cm。


ふんわりとした顔だちで、色白。

黒い髪はたっぷりしていて、肩まである


アジアン風の顔だちで、大人しい。


意外に性格はしっかりしていて、法律に詳しいのはそういう家系らしい。


お父さんは貿易商なので、そのせいかも。



法務とか、企画希望。





「そうそう、 別の列車と間違えそうになって。」リサは思い出し笑い。



「だって、色も同じだし、形も」めぐは

そう言う。



14番ホームから16番ホームまでは、夜行列車が並ぶけど

同じところに行かない事もあるし

指定席、と言って


寝台車は、同じベッドにふたり寝られないから違う列車に乗っても、席がない。



4人は学校から貰った券を


リサの機転で、事前に座席変更、と行って


4人個室に変えて貰っていた。



駅員さんに頼むと、出発前なら出来るので



個室の方が周りに迷惑にならないかと(笑

騒々しくなりそうだし)と

そうした。


まあ、大声で騒げば煩いが(笑)。



料金が同じなのは、普通寝台車だから。



それで、無料で3回までは変更出来る事に

なっている。



そういう面白い規則があるのが、国鉄。


法律とは別なのだけど、そのあたりも

れーみぃの範疇で


繊細な女の子向き。

料金のお話とかは複雑だし、継ぎ足しで作っているから

矛盾もあるけど、そこは法律と同じで


解釈で進める事になる。


めぐの志望する駅員も、最初は出札、と言って

切符を持っているから見るだけ。


段々、そういう規則を覚えて駅員へ行くタイプと

ワゴンサービス、みたいな販売に行く人と。



いろいろ。



向いてるとこへ行けばいい。




めぐは理系なので、どちらかと言うと

鉄道研究所へ行くタイプである。



理論は明快なので、悩まずに済む。





なので、似ている列車が並んでいて困ると

言うめぐの気持ちは


目印を知らなかった、と言うだけだった(笑)。



「そーだよねーぇ。間違えて東へ行くとこだった」と、れーみぃ。



同じ時間にそういう列車も出てるから。


1000km離れた所へ行くところだったりする(笑)。





その時も、めぐとれーみぃは

駅でお買い物、と言うか



可愛いものを見つけて、時間を忘れてて。



慌てて、改札にあるホーム番号をみないで

来てしまったので、そうなった。




「列車番号とか、ニックネームを見てれば

間違えないわよ。テールマークがあるし」

リサは、専門的に列車番号、と言うが


そこまで知らなくても、改札の上に


掲示板があって[寝台特急ゆうづる1号 18:03 14番線]とか

[臨時急行八甲田53号 23:23 16番線] とか、書いてあるので

それを見てくればいいし、改札の人に聞いてもいい。



でも、知らない人には解らない(笑)。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る