第2話
緩やかな風に踊る草花。
昨日雨が降ったからだろうか、湿った土の香りと植物特有の青臭い匂いがする。
いわゆる「雨上がりの匂い」というものだろうが、僕はこれが嫌いではない。
さて、今日は何をしようか…
揺れるヒメジョオンを目を細めながら眺め、今日の予定を考える。
事前に考えておいた方が有意義に1日を使えると思う人も居るとだろうが、この考えてる時間が1番ワクワクすると思うのは僕だけでは無いはずだ…多分。
考え始めてどのくらい経っただろうか。
隣の家から、ぷーんと良い香りがする。
この匂いは、魚を焼いている匂い…
しかも、鯵の干物とみた!
僕は魚に目がない。
特に、開きの干物の中骨に付いた身をこそいで食べるのが好きだ!
行儀が悪いかもしれないけど、そういうところにこそ真の美食が隠れているものさ…
よだれを垂らしながら意地汚いことを考えていると、隣の家の窓がガラリと開き、見慣れた顔のおばあちゃんが顔を出して辺りをキョロキョロしている。
「あぁ、いたいた。良かったら今日も、一緒にご飯食べるかい?」
僕の姿を見つけるや、にっこり笑いながら声をかけてくる。
以前、家の周りをお腹を減らしてフラフラしていた時に声をかけてもらってから、時々ご飯を一緒に食べさせてもらっている。
おばあちゃんも、僕がどう答えるかわかって聞いているのだろう。
満面の笑みで是非とも!と答えを返し、おばあちゃん家の方へ駆け寄った。
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