第43話 lovin'you

考えに耽っている僕に、かすみはこう告げた。


「今、あなたの生はここにあるのです。他の世界に

行ってしまいたいとお思いになるのも

それは、貴方の生がある証拠なのですね。

恋をしない、それもあなたの生がここにある証拠です。

それはそれで、いい事なのでしょう。

もし、花のように短い命なら....

生そのものが、無くなってしまうかもしれないと

思うと...」



かすみは、遠くを見つめながらそう言った。



僕は、気づいた。

そうか。自分はなんて傲慢だったのだろう。

人としての限りある命を生きている。

貴重な時間に起きた出来事。


それは、すばらしい思い出になるかもしれなかったのに。




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