第42話 silent heaven

かすみの言葉をイメージしてみると


桜の花が舞い降りる様は

たしかに華やかであり、しあわせなのだろうか

とも思えた。



耳をすまして、桜の花の声が聞こえないか?


と思った。



風が吹く度に、さぁっ、と花弁が散り


季節の移り変わりを感じる。




...ありがとう、さようなら.....



そんな声が聞こえてきたような気がした。



僕も、ありがとう、と言ってみた。



また、こんどの春になったら。




ありがとう、さようなら。




しあわせでした、と


そう聞くと、でも、だからこそ

儚く散っていく桜の花が


淋しく見えてしまうのだ。



それは、たぶん

僕自身も限られた時間を生きる者だから。

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