第39話 b' wanna she no home
でもそれは 女たちにとっても
同じことだ。
望んで、女に生まれた訳じゃない。
そう考えているのか、大抵は
現実の不安定さに苛立ち
焦燥に駆られている。
だから、ますます愛なんて
ほのぼのとした環境に似合うような、そんな形の
それからは縁遠く、
my sweet summer suit
ふと、空を見上げれば
春の空はうららか。
うすぼんやりと、おだやか。
物思いに耽っていても、時は流れていく。
爽やかな春風に、かすみは長い髪をなびかせて
ここちよさそう。
..でも、花、なんだよな。
どんなに愛らしいと思っても
僕とは、生きる世界が違うんだな。
そう思うと、とても切なくなってしまう。
幼い頃は、好き、も
愛しい、も
とても自然な感情だった。
幼なじみの子に、いつかお嫁さんにするね、なんて
自然な感情で言ったりしたものだった。
その子は、嬉しそうに頷いたりして。
とてもしあわせな時間だったような気がする。
でも、その子も
ハイティーンになると
他のクラスメートたちのように
見た目ばかりを気にするようになって。
計算と駆け引きに明け暮れる。
短いスカートを穿いて、だらしなく言葉を吐き。
幼い頃のような素直な気持ちは
どこかに置き忘れてしまって。
なぜ、みんな美しい心を磨こうとせず
見た目ばかりを取り繕うとするのだろう?
言ってみればそれは
攻撃性の現れだろうな、と
僕は考えた。
人間は動物。
だから排他性もあり、闘争性もある。
恋もアタックだ。
だから、挑発も煽動もあるのだろう。
でも、かすみやふたばは動物ではないから
もとよりその必然も無い。
その事を僕は羨む。と同時に
越えられない壁があるように思う。
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