第11話 why cannot this be love

誰も、この気持ちに抗うことなんかできない。

そう思う。



「恋人はいないの?」

いつの間にか、親しい口調になっていた

かすみが、率直にそう聞くので僕は

いないよ、とそう答えた。



それは本当だった。


なんとなく、好きになれる人がいなかった。

それだけの事だった。


それはフィーリング。


たぶん僕は、こうなるために

生まれてきたのだろう。


地位も名誉も財産も、そんなものは

みな矮小なものに思えた。


この、素晴らしい気持ちの前には。



いま、僕は生きている。


時がこのまま、永遠であれば....



そこまで思って、気づく。

そう、その瞬間こそ時空を飛び越えた時なのだ。


そうして、ごく自然に多次元の世界が存在するからこそ

この地球の重力場が保たれているのだ。


だからもし、そうした瞬間が無くなれば

この星の重力場は崩壊する。



....そうか。それで。


僕は悟ったような気がした。



「何、考えてるの?」

かすみは、優しい声でそう言った。





アニミズム、と言う考えがある。

古代の日本では、木や石にも魂があると考えられていた

とする考えである。



それは、本当にそうだったのかもしれない。



それらは、僕らのように会話し

ごく自然に、多次元宇宙を構成していた。



その頃の地球は、住みやすく平和だった筈だ。

重力場が正常だったからだ。



今、アニミズムは単なる信仰だったと考える人が多い。

つまり、3次元的な時間、空間の狭い枠でしか

ものを考えられない人が多く、つまり...


その影響で、地球の重力場が歪んでいるのだ。


だから、環境が....





「どうしたの?」



かすみの声で我に返った僕だった。

そうそう、今を楽しまなくては。



仮説が正しければ、そうする事が

いま、この世界を公正に導く道なのだ...





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