第10話 touch me
僕の部屋は、エントランスから
階段で上がった2階。
かすみは、黙っていた。
部屋に入ると、かすみは
「.........花はないのね」と、あたりを見まわしたように。
そうさ、だって男だし、と
僕は笑顔で答えた。すると
「でも、わたしがいるからいいわね」と
ちょっとお姉さんふうに、そう言った。
そう、普通の女の子だったら
いくつぐらいなんだろうか。
年齢不詳、みたいな感じかなと
僕は思った。
「そうね、年齢って言っても...
私たちに、あまり時間はないわね」と
何かに気づいたように、かすみはそう言った、そして。
「....ねえ。」決意したように、かすみは言う。
「touch me?」
.....まあ、触れるったって花だしな、と
僕は思った。でも話ができる彼女。
可愛らしくて、柔らかくて。
その子、とイメージすると
なんかドキドキしてきた。妙なものだけど。
それで、照れ隠しに
どうしてそんなこと言うの、と聞くと
「ううん、理由なんてないの。
ただ、そうしてほしいと感じるだけなの」と
かすみは、声を揺らしてそう言った。
僕は、ときめきながら
perfum de fleur....
ひそやかな香りを感じた。
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