第9話 take me, take me

どうして?と

僕が尋ねると



「だって、淋しいんですもの」


と、彼女はそう言った。



淋しいって...

今までずっと、そこにみんなと

一緒だったし...



と、僕が言うと



「わからないの。ただ、あなたが帰るって

言ったら、淋しいと思ったの。だから

連れて行って?」




...まあ、いいか。話ができると言っても

ただの花だし。


一人暮らしにあの家は広すぎるから

話し相手になっていいか。


僕は、かすみを

優しく、そこから連れ出して

V7sportで一緒に帰った。




家に着くと、ガレージにV7sportをパークして

エントランスへの階段を上がった。


ガレージから直接家に上がれる

この構造は結構気に入っている。


オートバイだと、とても便利だし

夜中にふと起きて、なにげなくバイクに触れたい時など

いい感じだ。





「広いお家なのね。」かすみは感嘆したようにそういう。



いや、そうでもないけど。父の道楽でね、と

僕は答えた。



それを詮索する事もなく、かすみはただ

頷いていたようだった。




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