第8話 the 5th dimention

地球の重力場を測定すると

どう計算しても、3次元的な空間では

計算が合わない事が知られているが


つまり、この僕の居る場所は

多次元空間が存在している、そう僕は考えた。


何らかの理由で、僕の思考は

時空を飛び越えて


この、かすみ草の話す時空とつながったのだろう。


その世界では、彼女たちは語り合っているのだろう。


いや、今、この瞬間も語り合っているのだろう。


何らかの理由で、彼女は僕と会話ができる。



その理由を推察したとしても、3次元的な

僕の思考では理解できないに違いないから



話せる事を僕は、単純に喜ぶ事にした。



「君のこと、なんて呼んだらいいかな」



花の声は、ちょっと楽しげな声で「かすみ、でいいわ」



僕は、あまりに単純な答え、ストレートさに微笑んだ。




「ヘンかしら」と、かすみはそういう。



僕は、かすみを身近に感じた。



「バイトさんは、お家に帰らないの?」



僕はふと、壁の丸い時計を見る。


もう深夜だ。


「そうだね、帰るよ」と、僕は身支度をして店の灯りを落とした。



「待って」かすみは、少しテンションのある声でそういうので


僕はどきりとした。


振り返ると...かすみは。




「わたしを連れていってください」



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