第233話 日本三大車窓

「じゃ、3人トリオで。ゆりえでーす」


「ゆかでーす」


友里絵が、愛紗にサイン。



「え、あ、あたし? えーと、みなみはるおでございます」と、愛紗。



愛紗の両ほっぺたを、たたくまねのふたり。



「じゃなーくてぇ、ぱふゅーむとかさ」と、友里絵。



「香水・・・ってもな、田舎の、だろ」と、由香。




「なんかくさそー」と、友里絵。




「ははは、あったなー。鹿児島にも、そういうの」と、菜由。



「そーだろーねぇ。大岡山にもあるよ、今でも」と、由香。



「ほんと?」と、友里絵。



由香「あるよ。今の車庫があるところも、昔は田んぼだったから、あるよ。

あのー、ほら。市民病院と、コンビニのある通りの角。あそこは

昔肥溜めだった」



友里絵「ほーんとーぉ。あ、それでか。車庫の水飲むなって。野田さんが」



菜由「何それ?」




友里絵「地面から出てるのは井戸だから、って。」




菜由「うわー。」



友里絵「ダシが効いてるよー。」



由香「きたねーなあ、もう」




友里絵「まあ、死にゃしないと思うけどさ」




肥薩線に入ると、上り坂が増えて。

車窓には、鹿児島の町並みが小さく見える。


模型みたいに。



「けっこう昇るねー」と、友里絵。




「登る、だと思うけど」と、由香。



「どっちでもいーじゃん。細かいこというと女にモテない!」と、友里絵。


「あたしゃ女だよ」と、由香。



「はは。男にもモテナイよ」と、友里絵。「モテすぎるのも困るだろーけど」



菜由「そだね。女難か。あーるなぁ。どーしても、って迫られて、仕方なく。」



友里絵「それはしょーもないよ。ほんと。ハズミでなるもんねぇ。」




由香「あーるねぇ。友里絵みたいにさ、女にもモテちゃうから。

それでなんとなく、外されて。」



友里絵「女ってヤダねぇ」



由香「ほんと」



友里絵「あんたも女だろ」




由香「まあ、そうだけどさ。でも、曲がったことは嫌いだよ」




愛紗「そうだよね」



友里絵「あっちは曲がってる方がいいけど」




由香「あっちって、あっち?」


友里絵、頷く。



友里絵「さあ、ここで問題です!「あっち」はどこでしょうー!


みんな!ニューヨークへいきたいかー!」



菜由「懐かしいなぁ、イエー!」



愛紗も「い、イエー!」



友里絵「おー、乗ってきたねー、みんなー。ニューヨークは燃えているかー!」



由香「イエー!」



菜由「バンドやってもいいかもね」(^^)。




友里絵「♪ぱーぱー、ぱーららららー♪」トランペットのテーマソングの口真似(^^)。



由香「オマエがぱーだろ」



友里絵「ははは」



「バスでやるなよ、運転手さん事故起こすぞ。」と、由香。



友里絵「はーい。やってませーん」




車窓は、だんだん緑が深くなってきて。


すこーしづつ。


速度が落ちてきた。




さっきの車掌さんは、上着を脱いで。

白いシャツに、黒いベスト。


赤いワンポイントは、つばめのデザイン。




「このあたりから、景色が綺麗ですよ」と。


にこにこ、ほがらか。


凛とした美人。でも、愛らしい。



いいなぁ、と・・・愛紗も思う。





「(E 」と、友里絵。


「なんだそりゃ。略すなよ。横着だなあ」と、由香。



「でもあの人だって、下ネタで受けてたよ」と、友里絵。



菜由「そりゃー、どんな美人だってさ」


「一皮むけば同じ」と、友里絵。




「なーんか、オマエが言うとHに聞こえるぞ」と、由香。



友里絵「そーかなぁ。期待してんでしょ、このぉ」と、友里絵。



「してねーよ」と、由香。




列車はぐんぐん、標高を上げる。

架線がないから、景色はとても綺麗に見える。




「あっちの方、東?」と、友里絵。



菜由「そうじゃない?都城の方かな」



愛紗「意外と近いね」




友里絵「おなかすいてきたね」


由香「よくしゃべるからなぁ」



愛紗「降りて、何か食べようか?」


菜由「それもいいかも。どこで降りようか?」



愛紗「そうね・・・・列車の乗り継ぎは吉松だから、この列車の終点。

そこで人吉行きに連絡だから。そこで降りてもいいし。でも、なにかあったかなぁ。

わたしも降りたことないし」



菜由「それだと・・・迷ってると時間取るから、結局食べられなくなったりするね。

食堂とかで食べると。」



友里絵「じゃ、なんか買ってこよっか。食べ物。」



由香「フランスパン持ってたじゃん」



友里絵「うん」



菜由「さすが。」




愛紗「旅慣れてるね」



友里絵「タマちゃんがね」




由香「なーるほど・・・・。なんかジャムとかあれば」



友里絵「そー思ってね。今朝のバイキングの時に、ちょっと。」


と、マーガリンとかジャムとか。




由香「ドロボー」



友里絵「いいじゃん、これくらい。パン持ってこなかっただけ」



由香「そりゃそうだ」



菜由「タッパー持ってくる人もいるってね」



由香「うわー。」



友里絵「まあ、ありそう。水筒持ってくる人、いたもんなぁ。」




愛紗「あるね。地域によるけど。それがふつうのとこもあるって。」



友里絵「そうだよねぇ。バスツアーでも、お菓子配ると。余計に持ってっちゃう人いるもんなぁ」



由香「お酒は多いね。足りないだろうし」



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