第124話 由布院、指宿、霧島

「お父さんも、いつまでも言わないとは思うわ」と、伯母さん。


「誰かと結婚しちゃえばね」と、友里絵。



「タマちゃんでいいじゃん。頼んでさ、ニセ結婚して貰う」と、由香。



「昔ーしのドラマであったような筋だ」と、友里絵。



「むかーしって、キミは幾つなの?実年齢。」と、由香。


(ババアだろ、と言いそうになったけど、伯母さんが居るので控えた由香。)(笑)




「菜由みたいに、誰かと」と、友里絵。



愛紗は「そういう気持でもないのね。」と。真面目。




「そうそう!菜由で思い出したけど。電話してさ、宮崎じゃなくて大分空港に降りて貰えば


?」と、由香。



機転が利く子。バスガイド経験で随分慣れた。



観光バスが遅れたり、天候不良で飛行機が降り無かったり。

そういう時、ガイドだけが頼りなお客さんもいるから。



「宮崎行く理由がなくなっちゃったもんね」と、友里絵。




「遊びに行くにはいい所なんだけど」と、愛紗。




とりあえず電話。



愛紗は、廊下に出て携帯で話す。



「もしもし、あのね・・・あたし。明日ね、宮崎シーガイアの予約、取れてなかったの。

ごめん。手違いがあって。うんうん、それでね、宮崎行く理由が無くなっちゃったから。

今私達は大分に居るんだけど、大分空港か熊本空港に・・。そうそう。その方が・・。



そう、私はあんまり・・・。あっちへね。



うん、飛行機取れるかどうかね。日曜だから大丈夫だと思うけど。携帯で見たら

有りそうだけど。」と、愛紗。





愛紗は戻ってきて「とりあえず伝えたけど。飛行機が取れるかどうか。」



「結構あると思うよ。日曜に下りに乗る人ってそんなに居ないと思う。」と。由香。



「夕方だと、単身赴任のお父さんが乗るかもしれないわ」と、伯母さん。



「さすがー現職!」と、友里絵。



おばさんは、はは、と。笑って「良くあるの。今は駅で取れるのもあるでしょう?飛行機の

切符。」と。




「そうなんですか?」と、由香。




「そうよ。いろいろ取れるの、あれ。お芝居の切符とかも取れるのがあるの」と。

伯母さんはにこにこ。



「便利ね」と、愛紗。



「プレミアムチケットを、取ってって頼まれると弱っちゃうけど。」と、伯母さん。



「そういうの、あるんですか?」と、由香。



伯母さんは「臨時列車の寝台券とか。豪華列車とか」



友里絵は「あ!知ってるー。オリエンタルなんとか」と。


由香は「オリエントだよ。オリエンタルはカレーだろ」と。



「3万円、5万円、7万円、運命の分かれ道!」と、友里絵。



「では来週もオリエンタル、がっちり食いましょう!」と、由香。



「違う違う、がっちり買いまSHOW!」と友里絵。



「なつかしいわ」と、伯母さん。



「よく見てたな。子供の頃。土曜の午後だったか」と、愛紗。



「そうそう。大阪は夜やってたらしいんだけど」と、由香。



そのうちに、菜由から電話が来て。愛紗は


「あ、もしもし?」と、廊下に出て。



「うん。そう。大分空港12時頃?そう。それだと、大分駅まですぐだから。

そこで待ち合わせでもいい?」



愛紗は戻ってきて「飛行機変えられたって、切符」



「良かったね」と、伯母さん。


「じゃ、旅行プラン!プラン!」と、友里絵。



「大分12時だと・・・阿蘇くらいかな、せいぜい行けて」と、伯母さん。


「それかさー。由布院は?」と、友里絵。



「いいね。由布院ってなんか、ハイソー。」って由香。



「軽井沢みたいなイメージ」と、愛紗。




「ただの田舎だけど」と、伯母さん。




みんな、笑う。「軽井沢もそうよね」




じゃ、由布院でいいか・・・と、伯母さんは由布院のお宿に電話すると


「うん、ガラガラだって、オフシーズンだし。日曜でしょ?」




「じゃ、のんびり見れるね。」と、友里絵。



「由布院だけで一週間くらい居たいね」と由香。



「そういう旅に向いてるところね、由布院」と、伯母さん。



友里絵は指折り数えて「あと何泊できるのかなー。」と。


由香は「えっと、今日が土曜でしょ?日曜、月曜、火曜、水曜、木曜。

金曜。土曜の夜帰ると・・・6泊か!ゴージャスーぅ。初めて。こんなの!」と


楽しそう。



愛紗は「じゃ、由布院2泊にする?」と。


「あと四つか」と、友里絵。



「最終日、大分から乗るんだと、最後は近くに泊まった方がいいわ」と、伯母さん。




「うーん・・・・それだと、最初に飛ばして鹿児島まで・・・。あ、菜由は

家帰るんじゃない?もしかして。」と、友里絵。



「ああ、そっか!うっかりしてた。」と、由香。


愛紗は「いつでも帰れるもの。菜由は主婦だし」と。



そっか、と、みんな笑う。「でも、一応、聞いたほうがいいんじゃない?」と

由香。



それで、愛紗は、あんまり頻繁に電話すると悪いからメールで



「実家、帰る?」と、それだけ。



すぐ電話が来て「愛紗ー。わたし。実家はまた、亭主と帰るから。今回は

みんなで遊ぼう?」と。



愛紗は「ありがと。それじゃ、またプランを練ってから・・。今のアイデアだとね、

阿蘇とか指宿とか、あの辺りに二泊ずつ。帰ってきて由布院二泊。とか。」



「大旅行ね、それ。荷物持って歩くと大変ね。」と、菜由。「じゃ、軽くしとく!

スーツケースなんか持たないで」



「私達は、バッグだけ」と、愛紗。



「ガイドねぇ」と、菜由は笑う。


旅慣れるとそうなる。(笑)。

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