第125話 周遊券

「指宿も行きたいしー。霧島も、阿蘇も。」と、友里絵。


「一週間じゃ無理だよ」と、由香。


「ワイド周遊券だって20日分だし」と愛紗。


「あっそーだ、切符、どうする?」と、友里絵。


由香が「こっちで買えるのもあるでしょ?」


伯母さんは「そう、だいたい3日分で5000円くらい。範囲は熊本と人吉とか、指宿だけと


か」



「愛紗のは?」と、由香が聞くと


「これは14日で15000円」と、愛紗。「20日分で20000円で、往復急行が

乗り放題」



「そっちが良かったなー」と、友里絵。



「前から分かってればね」と、由香。




友里絵は「明日、指宿まで行くの無理?」





伯母さんは「飛行機で行けば楽々。大分空港からも出てるし。列車だったら

久留米まで行って新幹線でも夕方には着くね」




「そっかー。飛行機もいいね。」と、友里絵。


「プロペラの飛行機で」と、伯母さん。


「かわいいのね」と、愛紗。



「あ、でも、そうすると菜由が大分駅まで来て、また戻るの?空港」と、由香。



「電話すればいいけど・・どうする?列車か飛行機か。列車だったら周遊券を

それに合わせて買った方が安いね」と、愛紗。




「なんか、ややっこしくなってきたなー。」と、友里絵。



「プランなんて、ずーっと前から立てるもんだもん。」と、由香。



「だぁってさー。忙しいんだもん。」と友里絵。




愛紗は思う。ホントに、寝るのがやっと、みたいな生活だった。

あんな生活はもう・・・。と、思う。


朝4時に起きて、一日中立ち仕事で。

昼寝も出来ず、接客もある。ひと目のある場所で。

帰宅して寝るのが21時くらい。


もう戻りたくないと思う。



路線ドライバーは幾らかマシだが。代わりに責任がある。

人でも轢いたら終わり。




「愛紗はどう思う?」と、由香。



「え、わたしは・・・・みんなの行きたい方でいいと思う」



と、愛紗。




「愛紗ちゃん、優しいねー。」と、友里絵。



ありがとう、と。愛紗。


ホントにやさしいのは、友里絵ちゃんだよね。と思いながら。




「じゃ、切符があるほうで行けば?」と、伯母さん。


よくある方法(笑)。宿が取れたほう、とか。


列車が取れた方、とか。


こういう決め方だと、文句が出ない(笑)。





「じゃ、探そう!」と。



伯母さんは「そうね・・・。大分から久留米か、熊本だと「ゆふ」か「あそ」。

どっちもあるでしょうね。日曜だし。自由席もあるわ、多分。

飛行機は・・・わかんないけど」と。


由香は、携帯で飛行機の切符を探すと・・・・・・。大分ー鹿児島便。


「あーんまりないね。席、ばらばらだ。なんで?」



伯母さんは「九州は広いから、列車よりも飛行機の方が便利なの。大分ー鹿児島だと。


日豊本線ルートは新幹線無いから」と。


空港ー駅で時間掛かるから、結局そんなに変わらないけど、と(笑)



「なーるほど。飛行機が早くても、空港って町から遠いもんね」と、友里絵。




「じゃ、列車だ!」と、友里絵は言い。「切符どうする?」




伯母さんは「他も回るなら、特急乗り放題切符にするといいわ。

指宿行って、阿蘇ー由布院だと九州フリー切符ね。ワイド周遊券だったら

15000円で帰りの乗車券分も出るから、結局得ね。でも、ここでは買えないの」



「残念」と、由香が言うと、友里絵が「そうだ!菜由に買ってきて貰って!」



「あーなるほどー。菜由も乗るもんね。それいい考えだ」と、由香。



電話してみよ、と、友里絵はそのまま、携帯で。



「でーるかなー。」と。


「あ、もしもし。菜由?あたしー、友里絵。元気ー、久しぶりー。うんうん、こっちは元気だ


よー。

あのさぁーあ、明日さ、駅から空港行くでしょ?それでね?お得な切符があるんだー。

菜由も乗るからさ、その切符がね?えーと・・・・。」


なんだっけ、と、友里絵はこっちを見て。


伯母さんは「九州ワイド周遊券、14日用」と、紙に書いて見せた。



友里絵は「あ、ごめんごめん、えーと、きゅうしゅうわいどしゅうゆうけん、じゅうよんにちよう・・


・。で、いいのかな。そうそう、乗り放題なんだって!。それがね、3つ!友里絵と由香のも

買ってきてー。お金はこっちで払うから、え?愛紗の?愛紗は持ってるんだって。

最初から国鉄で来たから。うんうん、ありがとー。お願い。じゃねー、あしたまた」



と、元気に。



愛紗は、友里絵を見ていると明るい気持になれて。

友達っていいなぁ、って。


そんなふうに。


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