第104話 まもなく、大分です

日野車掌が、寝台の鍵を回収に来た。


「まもなく、大分です、鍵の回収を」と。


愛紗は「はい」と、10号室の鍵を返した。


由香も返したが「このキーホルダー、ほしい。」と(笑)



日野車掌は「残念ながら、売ってないです。」と。



レリーフになっているアクリル加工だったけれど

表面はクリアーで、半分くらいがレリーフ。

すりガラスのようなところに☆SOLO COMPARTMENT CAR

と、あった。


「んー、残念だー。」と、友里恵。



「お嬢さん方は大分までですね?」と、日野車掌。


由香は「はい。宮崎シーガイアまで行こうと思ったけど、18:00までだと

ちょっと辛いし」



車掌は「列車遅れ、申し訳ありません」



車掌さんのせいではないですよー、と、みんな笑う。



車掌は「列車は南宮崎まで行きますけど、シーガイアに18時は無理でしょうね。」



友里恵は「いいんです。私達、きょうは愛紗のおばさんの所へ泊まるの。」と言うと


日野車掌は「愛紗さん・・・ああ庄内駅の日野の親類の。あなたがそうですか」と


愛紗のことを



「はい。日生です。車掌さんは、伯母のご身内でいらっしゃいますか?」



日野車掌は「はい。私の伯母にも当たりますね。」



「なーんだ、親戚同士か」と、由香も笑う。



「おっと、もうすぐ到着です。それではまた、到着後。」と、車掌は

駆け足で9号車へ。



列車はスピードを落とし、入り江の形に添って走っている。


日出のあたりだろうか。



「愛紗の就職、上手く行くといいね」と、由香。



「でもさ、そうすると・・・同じ会社の人じゃなくなっちゃうね。」と、友里恵。




「それはそうだけど・・・でも、転勤でも同じだもん。宮崎には行くつもりないけど。」と

愛紗。



「そうなの?」と、由香。



「うん。だって・・家に居たら『嫁に行け』圧力があるから。

見合いか何かで。父の気に入った人とか。」

と、愛紗。



「なるほど・・・まあ、私らにには無縁な話だな」と、由香。



「なんで?」と、友里恵。



「来るわけないじゃん。不良あがりなんかに」と、由香。



「あっそーか、ハハハ。」と、友里恵。


「笑っていいのか?」と、由香。


「いいともー。」と、友里恵が言うので


愛紗も笑った。


深刻にならない友達、いいなぁ・・・。と、思いながら。


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