第2話

林ユーコは、

「宜しくね、藤島くん」と

笑顔だった。

ま、藤島は男に対しては性格が頗る悪いけど、

自分の気に入った女子の前では気持ち悪いくらいデレデレで。顔は超絶男前だし。

林ユーコも、俺なんかより藤島の方がいいだろうと思った。


さて。


俺のペアだけど。


壁際。一番後ろの席。

誰と戯れる訳でもなくポツンと着席

してる大人しめ女子。

山梨県から、此処、長野県のとある

中学にやって来た地毛で茶髪の眼鏡女子、

真島マヒロ。


俺は一応、声をかけた。


「ま、真島さん!」


「え」


目が合って、

「二人三脚のペア、俺なんだけど

宜しく」と告げた。


「宜しくお願いします」


素っ気なく、ボソリと呟くよーに

言うあたり、確かに暗い感じはするけどな。


それでも、美少女なんだけど、

気の強い女子、林ユーコとペアになる

よりは気楽だと思った。


体育の時間に、ペアになって

二人三脚の練習をしたんだけど、

中々どーして、俺ら二人は息が合わなかった。

練習中。

バターン!俺も真島マヒロも。

二人して前のめりになってこけた。


「ご、ごめんね。私ってば、

運動苦手で...」


「あ、いや、大丈夫だよ。

体育祭までまだ日があるし。

練習も、まだ何回かできるし、きっと

そのうち、呼吸も合ってくると思う」


「う、うん。だといいけど...」


俺たちがモタモタしているのを

藤島と林ユーコのペアは、さも

おかしいとばかりに笑ってた。


「うわ、もう亀なんじゃないかって

位、ノロマー!」「こけたし!」


「陰キャ同士のカップルだし。

とーぜんかww」


「おいっ、み、見せもんじゃねーぞっ」


そう、言い返すのが精一杯だった。


とはいえ、これも練習の賜物なのか。

何回か二人して走ってるうちに、

息が合ってきた。


俺は陸上部ではないが、

常日頃、藤島に

「あ、筆箱、教室に忘れてきた。

お前、取ってこーい」などと

命令されているせいもあると

思うし、更には朝刊の新聞配達バイトのおかげかもだが50メートルは5秒台と足が早かった。


マヒロも、

何気に、ブルマ下から覗く脚は滅茶苦茶綺麗で、カモシカのよーだったし、足首も引き締まっていて、

もしかしたら、脚早い女子なのかも、

と思った。


さて、月日流れて。

体育祭当日。


事件が起きた。

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