妖魔抗争 3
―――温羅童子
吉備地域で鬼ノ城を拠点として一帯を支配したという古代の鬼。かの鬼の正体は、異国から渡ってきたとも言われている―――
○●○
はるか昔のことである。あるところにひとりの妖精がいた。
妖精にはひとりひとりに世界から与えられた
その妖精の場合、背負った役割は人間の死を予知して知らせることだった。
しかし、好奇心旺盛な妖精は、己の役割を超えて人間に近づいた。
なぜ人間は死んでしまうのか?
どうやったら死ぬのだろうか?
“殺す”とは、どういうことなのか?
―――殺したら、どうなる?
妖精は役割を放棄した。
そのかわりに、己の力を利用していたずらに島民を殺した。
妖精は、もはや手の付けられない残虐な
ある時、化物を懲らしめるため、島にやってきたひとがいた。
そのひとにも、やはり化物は襲い掛かかった。しかし、化物は返り討ちにされてまう。
故郷の島にいれなくなった化物は、別の島へと移った。彼が向かったのは、まだ見ぬ遠い遠い、はるか東の島国である。
そこで化物は、その国の“化物”たちと出会った。化物たちは、その国では“妖怪”と呼ばれ、人間とは対立していた。
もともと強い力を持っていた化物は、すぐに妖怪たちの王とあがめられた。
彼らの拠点は“鬼ノ城”と呼ばれ、王となった化物は人々から“鬼”と恐れられるようになった。
そして、いつしか彼は昔の名前を捨て、“温羅童子”と呼ばれるようになった。
○●○
「めでたしめでたし・・・といきたかっちゃけどね、実はこん話には続きがある。」
片手に戦斧を。
片手に己の
首の無い体は戦斧を自在に振り回し、人狼を翻弄する。
人狼とて決して弱いわけではない。俊敏な動きで蓮司の攻撃をよけている。だが、なかなか間合いを詰めることができず防戦一方になっていた。
人狼の額には汗の玉が浮かぶ。
かたや、首はまるで気に留めた様子もなく、別に聞いてもいない身の上話をとうとうと語り続ける。
「こん国の人間も俺のこと退治しようとしたんだ。酷か話ばいねえ、ちょっと村人の何人か殺しただけで即・国ん敵扱いだよ。別に大した悪さしたつもりはなかっちゃけどなあ。」
長い前髪に隠されて、首の表情をよみとることはできない。ただ、その口元はかすかに笑みを浮かべているようだった。
それは、己の浅はかな過去を思い出したことで自然とこぼれた自嘲なのか。はたまた記憶の奥底に閉じ込められていた、殺戮の享楽を思い出したのか。
「そげんことは置いといて、送り込まれてきた人間はなかなか強か奴でねえ。名前が確か四道将軍だっけか?あ、吉備のうんとかやったか・・・まあ何でもよかや。とにかくそいつによって追い出されちゃった。でも、それから後もいっぱい人間ば殺してしもたんだけど、なんやかんやあって俺は羅刹様ん配下に加わったんさ。」
首はいたって常と変わらない、戦闘中とは思えないほどぺらぺらと普通にしゃべっている。道端でたまたま出会った知り合いと井戸端会議をするような調子である。それがまた、余計にこの
人狼のことが眼中にないというのなら、まだそれに憤慨するということができたのかもしれない。しかし、そうではなかった。
快楽殺人や戦闘狂という言葉があるように、殺すや戦うことに対して楽しみを得る奴はごまんといる。
その点で、
彼はただ、無邪気だった。
デュラハンには死線を潜り抜ける緊張感や、血沸き肉躍るような高揚感がない。彼からは命を刈り取る者が持つ、残虐性をまるで感じないのだ。
自分のことを本気で殺そうとしているのに、殺意がない―――そう指摘してしまうのが簡単なのかもしれない。
まるで矛盾しているが、そうとしか言いようがない。
ただ、戯れている。幼子が、何の悪気もなく地面を這う虫を潰すのと同じようなものだ。
ぞわりと、心臓を逆なでされたような不気味さを、人狼はここにきて味わう。
一人で考えている間も、体の攻撃する《あそぶ》手は止まらない。
振り上げられた戦斧を人狼が横に飛んで紙一重で避ける。しかし、蓮司はそれを片腕で器用に旋回させて人狼めがけて振るう。
大きな、だが無駄のない動きで体は人狼をじわじわと追い詰める。
「なぜ、おまえは俺らの敵にまわる・・・!」
人狼の言葉に、首はきょとんとする。そして、体の方と向き合った。
自分の体同士で、「何言ってるんだコイツ?」と顔を見合わせているつもりらしい。
「なぜって、別に俺は海外妖怪ん味方ってわけやなかし。君らの変な連帯感に巻き込まんでくれんかな。」
「変な連帯感だと?」
「だってそうでしょ。日本妖怪を目の敵にして被害者ずらして挙げ句の果てにガキみたいなチーム作っちゃってなあ、一体何様のつもりたい?」
ぶちりと、人狼の中でつなぎ留められていたものがキレた。
「何様だと!?ふざけたことを抜かすな!貴様こそ、たかが島国の人外に負けて支配下に置かれただけだろうが!!」
人狼は思わず本音をこぼした。
人狼は当初、他の者とは違い、同じ海外妖怪である分、デュラハンである彼にはいくらか話が通用するのではないかと考えていた。話とは、無論、同情を誘った和解のことではない。四大妖怪の配下から
人狼には、とてもじゃないがこのデュラハンがあの四大妖怪の忠実な部下には到底思えなかった。むしろ、嫌々従わされているのではないかと勘繰っていたほどである。だからこそ、海外妖怪の中でも上位の存在たる自分が背中を押してやれば簡単に傾いてくれると思っていた。
その思い込みは、人狼が彼のことを下に見ていたという無意識の表れであるのだが、当の本人が気づくわけがない。
しかし、この勘違いが人狼のこの先の運命を決定づけることとなる。
「ただの負け犬に、この俺が負けていいはずがない!!」
追い詰められた焦りからか、人狼の口からは次々と本音が飛び出す。
「負け犬?」
体の肩がピクリと動く。
そして、一段低い声が首から発せられた。
戦斧の刃が、ごとりと音をたてて地面に突き刺さった。
「ああ、そうばい。確かに俺は負け犬さ。自分の故郷ば追われて、人間に倒されて、挙句ん果てにちっこい島国の妖怪ん配下にされた。誰がどう聞いたって立派な敗北者ばい。」
「でもなあ」と首が言いながら、体は地面に膝をついている人狼の頭を引っ付かんだ。
強い力は抵抗するのを許さない。人狼の視界には首がいっぱいに写りこむ。
「あんたはそん負け犬に負けとーっちゃん、ざあーこ。」
それは、人狼が初めて味わった侮辱だった。
海外妖怪、特に欧州の人外は血筋を重んじる。種族として純粋な血統を持つ人外は“純血”と称され、力量に関係なく一目置かれる存在となる。純血のほうが混血の人外よりも高い能力を持つのだから、“力量に関係なく”というのは正確ではない。人間の血なんてもっての他である。
血統主義の世界で、彼は、紛れもない純血だった。人間の愚かな真似事によって故郷を追われ、ちっぽけな島国に身を寄せることとなってしまったが、それが彼の立場に影響を及ぼすなんてことはない。彼はこの国でも、同胞から畏れられた。
その自分が、今、日本妖怪の軍門に下った人外に見下されている。人狼にとって許しがたいことだった。
激怒し、もはや言葉にならない声で咆哮する。
“人狼”という種族固有の能力は、『獣化』と『瞬間的な戦闘能力の引き上げ』である。後者は月の満ち欠けを基準に上限が確定するのだが、たとえ月が出ていなくとも、一定値以上の戦闘能力を引き上げることは可能である。
目にもとまらぬ速度で踏み込む。人狼は牙をむき、弾丸となってデュラハンの懐に突っ込んだ。
そのスピードは軽く音を超えている。反応できても止めることはほぼ不可能。
だが、人狼は戦闘において大切なことを忘れていた。
「!?」
心臓を穿ったかと思っていた人狼の手は虚空を掴んだ。かわりに、自分の頬からつうと、赤黒いものがしたたる。
デュラハンの体は、人狼の背後にいた。
「あーあ、当たっちゃった。」
それはまるで、遊びで負けた子を茶化すような無邪気な声。首の口元が三日月のように弧を描く。
背筋にぞっと、悪寒が走った。人狼は咄嗟に背後に飛びさすり、大きく間合いをとった。
何が起きたのかと考えるよりも先に、視界がしらみはじめた。それからすぐに、ふらりとその場に膝をつく。力が入らないのだ。
「体が腐り落ちる感覚はどうだい?」
デュラハンは、さも楽しそうに地面に伏した人狼に歩み寄る。
何が起こっているのか、わけがわからない。人狼は、ただ己の体が内側から焼け溶けるような感覚を味わった。
「俺は自分でつけた相手ん怪我ば悪化させられるんたい。まず皮膚腐らして、血液ん流れば鈍らせる。ほんの小さな傷でも、そこからじわじわと蝕んで、致命傷に陥らせる。」
「ほうら、もう動きにくかやろう?」
実のところ、人狼の実力と蓮司の実力は、実はほぼ互角だった。
ただし、人狼は幼かった。純粋な能力こそ他の者よりも上であるが故に感じていた優越感、そして、異なる環境にもかかわらず、変わらぬ閉塞したものの見方。
それらが
何より、
「おっとっと、あんまりやりすぎたら俺が怒られちゃう。いけないなあ、昔んくせが抜けきらん。ここは半殺しで済まさなね。」
よっこいしょと声に出しながら戦斧をかつぎ上げる。
人狼はもはや、体力的にも精神的にも、立ち上がることは不可能だった。
◇◆◇
いなりは影月とともに安全圏から戦況を観察していた。
無論、その戦況には人狼と蓮司の一対一の戦闘も含まれている。
蓮司はさすがは四大妖怪直属の配下というべきか、有名海外妖怪をものともしない強さであった。彼が最後に見せた技が、おそらく彼の妖術なのだろう。見ていただけではどういうものか判断が難しいが、おそらく傷口を悪化させるというもの。しかも、自分の意思でその深度を変えることができるようだ。
一昨日、蓮司は羅刹と愁の喧嘩をかなり強引な手法で止めたのだが、あの時蓮司は相当手加減をしていたのだと改めて実感する。もし彼が本気を出していれば、愁は今頃とっくにお陀仏である。
結果的に愁は生きているのだからそれはともかくとして、聞こえてきた話によれば蓮司は三大妖怪に匹敵するほど古くから日本にいる妖怪ということだ。今でこそ羅刹は南の四大妖怪という最強の一角を担っているわけだが、当時の蓮司にしてみれば羅刹の部下になることは、新参の妖怪の軍門に下ったのと同義である。一体どんな理由があって彼が羅刹の部下になったのかは言葉を濁されてわからない。しかし、過ぎたはるか昔のことに想像を膨らませてもあまり意味はないのである。
さて、蓮司が完封勝利をおさめたその横で、いなりは呑気に観戦だけをしていたわけではない。他の人外、主にレジスタンスのメンバーが対決に乱入してこないよう牽制も行っていた。空気も読まずになお突っ込んでくるような者に対してだけ容赦なく相手をし、死なない程度にシメていたのである。そんなこんなで、現在いなりの足元には愚かな真似をしたレジスタンスのメンバーたちが悶えながら転がっている。
とはいえ、立ち向かってくるような連中はほんのごくわずかであり、いなりが苦戦するまでもない相手である。結局のところ、いなりは特にすることもなく、影月とともに観戦していたのであった。
旅館の方は八重の防衛妖術のおかげでほぼ無傷である。彼女のつくった亜空間はどんな攻撃であろうと決して破ることはできない。おかげで、中居たちが築いていたバリケードはあまり意味をなさなかったが、結果オーライである。中にいる旅館客はよもや庭で組と海外妖怪の衝突が起こっていたとは夢にも思わないだろう。黒羽にいたっては
しいてあげるならば問題は、戦場に交じりたくてたまらないといわんばかりに八重がそわそわし始めていることくらいだ。黒羽に釘を刺されているので抑えているようだが、もしそうでなかったら喜んで暴れそうな様子である。自分は戦う必要がなくなりほっとしているのに、不思議なものだ。彼女の中で格付けが一に喧嘩、二に食べ物となっているだけのことはある。
なにはともあれ、あとはもう事が鎮圧されるのを待つだけだ。
そう頭では考えるのだが、何かぬぐいきれぬ違和感のようなものをいなりは胸中に感じていた。
別に何かこれから起こるというわでもあるまい。
にもかかわらず、言い表しがたい、不安が広がる。
(本当にこれで、終わりなのか?)
そして、その不吉な予感は往々にして当たる。
それも、最悪の形で。
騒ぎと混ざって、いなりの鋭い聴覚が、誰かがこちらに向かってくる気配を察知した。それもかなり速い速度である。
いなりはその方を見やる。
すると、まだ遠くの方に人影が見えた。
その人物をとらえるなり、いなりは目を
「「愁!?」」
くせっ毛の髪はくせと言い訳できないほどぼさぼさに乱れ、顔は泥で汚れている。彼の表情は変わらず硬くこわばったままだった。黙っていればかなりの美形なだけに、この時の愁は精悍な顔つきをした美青年のように映る。しかし、その体は何があったのかと問いたくなるほどボロボロだった。上半身に服を纏わず、巻かれた包帯が露わになっている。さらに、左の手からは血が流れている。右手には折れた木刀のようなものが握られていた。
一目で、愁の様子がオカシイことはわかった。それは、外見だけの話ではない。
「今までどこ行ってたんだこの野郎!」
「それどころじゃねえ!!」
なぜここに現れたのかはさておき、とにかく溜まりに溜まった
突然の闖入者に、周囲はざわめいていた。しかし、そんなのに目もくれず、形相で数弥の前につかつかと迫っていく。
「数弥ぁ!親父はどこだ!」
数弥はちょうど五人を相手に大立ち回りをしていたのだが、愁はお構いなしである。邪魔者はどいてろとばかりに手にしていた木刀で数弥が相手していた者たちをなぎ倒し、数弥につかみかかる。愁の的となった数弥は何事かと目を白黒させている。しかし、そこで言いよどまないところが達者な数弥である。すぐに頭を切り替えたのか、数弥の表情が引き締まったものになる。そして、彼が何か口にしようとしたときであった。
「緊急連絡、緊急連絡です!!」
「今度は何事や!」
いい加減にしてくれと言わんばかりに八重が宙を仰いだ。立て続けに訪れる非常事態にもう懲り懲りしているのである。しかし、現実はそう優しくない。
声を張り上げて飛んできたのは、ひとりの烏天狗だった。烏天狗といっても、背にある羽は茶色く、どちらかというと
そんなことはともかく、続く来訪者を見て動き出したものがいた。上空で傍観を決め込んでた黒羽である。
黒羽は烏天狗を見るなり、すうっと地上に降りてきた。
「君は、豊前坊んとこの烏天狗じゃないか。」
「
黒羽の姿を見るなり、烏天狗が驚愕で目を見開く。その驚きっぷりは、むしろ何かオソロシイものに出会ってしまったような感じである。
「あああ、このような形で顔を合わせることになり大変申し訳ありません!!こんな状況じゃなければきちんとご挨拶に伺ったのに」
「あーあー、だから別に僕を持ち上げなくていいから。そういうこと僕が全然気にしないのは知ってるはずだろー。それよりどうしたんだいー?」
烏天狗が地面に頭をこすりつけるのを黒羽はおしとどめた。
黒羽の性格的にそんなことは全く気にしていないというのものあるが、こんなところで大層丁寧なご機嫌伺いを述べられても拉致があかない。
「はっ!本日の午前四時頃に海上で不審な影を発見。至急四大妖怪配下にあたる者は博多湾で終結せよとの伝令をお伝えしに参上いたしました!」
いなりは“海上の不審な影”という言葉に反応した。それは何もいなりだけではない。黒羽や八重、影月も似たようなもので、互いに顔を見合せる。
「海上の不審な影って?」
黒羽が問い、烏天狗が答える。
「わたしも直接は見ておりませんが、仲間からの伝達によると体長は海上に現れている部分だけでおおよそ三十メートル。外観は形容しがたく、黒く不気味な“海獣”のようだと。」
「間違いない。
黒羽が断言した。
その言葉を聞き、いなりはごくりと唾をのむ。
およそ八百年の時を経て、蘇った悪夢が再来しようとしている。
あくまで仮定に過ぎなかった話がここにきて現実のものとなってしまったのだ。
「羅刹はこのことを知ってるのー?」
「それが、羅刹様は豊前坊様を伴って現場に向か―――」
言い終わらないうちに、数弥が烏天狗を掴みあげた。愁が彼につかみかかっていたはずだが、当の愁は
「どういうことだ!」
「お、俺だって詳しくは知りませんよぅ!」
烏天狗は数弥に凄まれ、半場やけくそになって答える。自分だってわけもわからないのに、いきなり四大妖怪配下の筆頭に責め立てられるのだから、理不尽なことこの上ない。
しかし、今は急を要する事態だ。
「なぜ止めなかったんだ!」
「そんなことできるわけねえだろ」と言いたげな目で烏天狗は算盤小僧を見返す。
これ以上彼を追い詰めたところで何も変わらない。それは誰もが分かっている。
数弥とて、取り乱しはしたが冷静な思考の持ち主である。すぐに頭を切り替えたらしい。深く息を吐き、落としていた頭を再びあげて、落ち着いた調子で烏天狗に尋ねる。
「豊前坊と一緒ってことは、一応1人じゃないはずなんだね。他に誰か現場にはいないのかいー?」
「発見者である海坊主殿と海座頭殿がおりましたが、両名ともかなり消耗しておいでで、現在は戦線を離脱しております。」
つまり、二名に変わって羅刹が現場に直行したということだ。それが意味することは現在羅刹はほぼ単身。彼の身をかためているのは豊前坊のみである。
いなりは無言で数弥を見やる。
数弥は言葉を失い、心ここにあらずといった様子である。烏天狗をつかんだままの状態で固まっていた。
とにかくこの短い会話で得られた情報は、今、大変よろしくない状況に置かれているということだ。しかし、これは・・・
(あまりにもできすぎではないか?)
いなりは脳をフル回転させる。
筑後組はレジスタンスに敵意を抱いていた。さらに何らかの情報からレジスタンスのリーダーがノイマンだと思いこみ、旅館の襲撃に。一方、レジスタンス側は四大妖怪、つまり羅刹を狙って旅館に襲撃してきた。それを阻止するために、たまたま現場に居合わせたいなり達が数弥や蓮司を旅館に呼んだ。
時系列順に出来事を並べてみると、三竦みの構図が浮かび上がる。ここに南の地の三つの勢力が集ったのは、偶然にしてはできすぎている。
これではまるで、わざと集めたかのようである。
(待てよ。集めたのではなく、邪魔者を引き離そうとしていたのなら・・・?)
「黒羽、これは・・・」
「もしかしたら僕らは、見事に
黒羽の言葉に答えるものはいない。
その代わり、この場にいる全員がある一つの事実にたどり着いた。
「・・・羅刹様が、危ない。」
狙われたのは、旅館ではない。
南の四大妖怪―――羅刹である。
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