???
◇◆◇
―――深夜
海は空の闇を吸い込み、真っ黒に染まっていた。
どちらも闇の色をしているから、二つの境界ははっきりとしない。
しかし、その境界を歩く者が一人いた。
闇よりも黒い姿の者である。顔までも黒子のように、頭巾で覆い隠している。
切り絵のように、そこだけ空も海もない。まるで、人型にぽっかりと虚空があるようだ。
男は海面を滑るように歩く。
波は全く立たない。
まるで、影が通り過ぎるようだった。
男はふと立ち止まった。
そして、その場にしゃがみこむ。
地面に触れるかのように、水面にそっと手を置く。
水面は男の手を受け、同心円状に波紋が広がっていく。
「みぃつけた。」
その声は、すうっと闇に吸い込まれていった。
◇◆◇
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます