第13話 太一 12
法科大学院は、2年間、法律の事だけを勉強するし、2年という時間もある。
予備試験は、2年間学校に通う事の出来ない人や、いろいろな事情で、行けない人達の為に、ある物で、その試験は、それはそれは、狭き門。
2年間、それこそ寝食を忘れて、勉強してやっと得られる受験資格と同等の知識が必要である事を知らなかった。
良子は、親のコネで、早々に就職先を決めていたので、親の手前、一応、就職するけれど、結婚して、子供が出来たら、すぐに仕事は辞めて専業主婦になろう。
裁判官か、検事か、悪くても弁護士の妻は、確実。
試験が終わったら、式場とか手配して、早ければ、来年の今頃、式場がとれなければ、少し伸びるけど、まあだいたいその位で、ウエディングドレスが着られると、勝手に自分の未来を夢見ていた。
太一は、予備試験に受かるまで何年かかるか、運良く今年受かったとしても、司法試験にすぐ受かるかどうかは、疑問だし、そこで、受かったとしても、その後2年間は、修習生として勉強の日々となる、少しでも早く合格したいので、試験勉強に必死。
良子の事をおざなりに思っている訳ではないが、結婚は、できれば、司法修習が終わってから。
結婚するまでには、最低3年、下手すれば、10年近くかかってしまうかもしれない。
想像したくはないが、予備試験に一生受からない可能性もある。
5年で見込みがなかったら、パラリーガルとして生きるしかないかも、「あきらめる」という決断をするのは、苦しいけれど、良子だって、何時までも待っていてくれないだろうから、5年が目安か・・・・
ともかくそうならないように、勉強するしかないと自分に言い聞かせていた。
その見解の相違が、発覚したのは、時間のない中、良子がどうしても行きたい。
それに、たまには、頭をリフレッシュしないと、勉強だって進まないわ!という言葉に、説得され、箱根に紅葉を見に行った帰り道。
「結婚式は、何時頃にする?試験の結果が分かるの6月でしょ?夏は、暑いから秋にでも・・・」
「ちょっと待って!司法試験は、大学受験と違うんだよ。」
「えっ?」
「大学受験みたいに簡単じゃないんだ。
本当は、法科大学院に進んで、それから、試験を受けたい所なんだけど、僕は、予備試験を受けて、司法試験に臨むつもりなんだ。
君も知ってると思うけど、去年は、見事に落ちたし、今年だって望み薄だよ。
何しろ合格率3〜4%位だからね。」
「えっ?」
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