第12話 太一 11
4年になって間もなく、同好会を卒業することにした。
良子との時間も大事、「運動不足から体を守る会」で、運動するのも、必須。
せっかく、大学に入ったのだから、それなりに楽しみたい気持もあった。
でも勉強と同好会の両立が難しくなって来たから。
3年の時に、軽い気持で受けてみた司法試験受験の資格を得る為の予備試験。
合格率は、たった、数パーセントと言われている、狭き門。
勉強もしていたが、大学生活を謳歌する事も忘れなかった太一では、落ちるのは当然。
でも、その試験でやっと現実を悟った。
大半の人は、法学部を卒業後法科大学院に進み、2年間みっちり勉強して、司法試験の受験資格を得て、司法試験に望む。
その2年間をすっとばして、司法試験受験の資格を得ようというのだから、当たり前。
太一は、法科大学院に行くつもりはなかった。
親は、太一が言えば、学費を惜しまず出してくれるだろう。
でも法科大学院に行っても、その後の試験に何年かかるか解らない。
理想は、大学生の間に、予備試験に何とか合格して、ストレートで、司法試験に受かる事。
でも、なかなか、そうも行かず、だらだらと親のすねをかじり続ける事になりかねない。
だから、卒業したら、何処かの法律事務所で働かせてもらいながら、司法試験に臨みたいと考えた。
お給料は、見習いの見習いだから、微々たる金額だとは思うから、親元から独立は出来ないけれど、それでも、アルバイトが勉強になるはずで、一石二鳥。
弁護士事務所での仕事は、生でいろいろ経験できるので、勉強にはなると思うけど、実質的な、頭に詰め込む時間が減ってしまうから、大学生の間に少しでも勉強を進めておきたい。
そして、出来れば、予備試験に通過しておきたい。
なので、4年になって、太一は、寝食もわすれ猛勉強を始めた。
当然、良子とは、会う時間ががぐんと減った。
でも良子は、ぐっと我慢していた。
なぜなら、3年の付き合いで太一が司法試験に受かったら、すぐに結婚できる。
そう、卒業して、間もなく行われる、司法試験に太一なら、一発合格するはず。
司法試験の合格率って言うのを調べたら、予備試験による、受験者の合格率は60%、東大の法科大学院生で50%近い人達が受かると記されていた。
予想していたよりも全然合格率が高いので、安心し切っていた。
良子の大きな間違いは、受験資格を得る為の予備試験は、大学受験の時の模試のような物と思いこんでいた事。
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