第11話 太一 10

この地に残って、我々と行動を共にすれば、夕方か夜には、お見舞いに行ける。

彼女の精神状態によっては、昼間、皆で楽しんでいるのを羨ましがられたら、我々を悪者にして、無理強いされている事にすれば良いし、彼女が恐縮していたら、帰って面白い旅になっていると言えば良い。

どう?」

なんかへ理屈というか、意味解んね〜って思ったけど、太一は、水野さんと一緒にいられたら嬉しいので、僕たちの合宿に参加するのは、大賛成。

男性陣は、女性の参加者が増える分には、全く文句はない。

女子も荒井さんと、水野さんや、佐藤さんがクラスメイトと言うことで、別段反対する者は、いなかった。


翌日、3日目は、宿の近くのテニスコートを予約していて、1日テニスを楽しむ。

水野さん達は、一人抜けてしまった事で、ホテル代高くなってしまうところ、彼女のご両親から差額を支払うからと、申し出があったが、かえってそれは、申し訳ないとまた、困っていた。

僕らが泊まっている宿は、貸し切り状態だが、部屋が二部屋余っていたので、食費分だけ支払えば、泊まれるという事で、水野さん達は、移って来た。

なので、夜の懇親会という名の、ただの飲み会でも一緒にいられる事になった。

一気に彼女との距離が縮まる。

4日目は、近くのスキー場でグラススキーとパラグライダーを楽しみ、5日目は、川でラフティングを体験して、翌日、合宿は、終わった。

そして、太一は、帰りの電車の中で、口から心臓が飛び出しそうな位、ドキドキしながら、水野良子に告白した。

「良子さん、ぼ、僕と、付き合っていただけませんか?」

「私で良いんですか?」

まるで、『結婚してください』とでも言ってるようなガチガチの告白。

まじめな太一らしい。

「はい、良子さんとお付き合いしたいです」

そして、無事に付き合う事になった。


良子は、夏休み明け「運動不足から体を守る会」にすぐに入部届けを出し、二人は、同じ同好会に席を置く事になり、一緒にいられる時間を確実に増やした。

授業の合間に、一緒にお茶をし、部活にでて、帰りは、一緒に帰り、土日も同好会の、ボーリング大会や、マラソン大会に参加、勿論一緒に。

連休には、同好会のイベントに参加。

時には、二人だけで、旅を楽しんだり、太一と良子は、恋人のいない人達より、数十倍、いや、数万倍、楽しく充実した、3年間をすごす。

仲間達や、良子と、たくさんたくさん思い出を共有した。

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