第10話 太一 9
「そうだな10分ごと交代で行こう。」
と部長が言って
「じゃ〜僕からおぶります。」
と坂野真が一番を買って出た。
「佐藤さんと坂野さんの荷物は、私がとりあえず持つ。
重くてどうしようもなくなったら、だれか、代わって!」
と妙子が背中には、自分のリュックを背負っているので、佐藤さんの荷物を前側から、肩に掛けた。
「僕が持とうか?」と声を掛けると、
「男子は、佐藤さんを運ぶ係だから、荷物は、女子で」
「うん」
1時間半ほどで戻れる所、あまり振動しない様にゆっくり歩いたので、2時間ちょっと掛けて、このトレッキングコースのスタート位置に戻った。
部長が、ここの管理事務所に容態を逐一知らせていたので、医者と救急車が待っていてくれた。
救急車に佐藤さんを乗せ、佐藤さんの友人の一人が一緒に乗り、後の水野さんという可愛い子と、もう一人は、タクシーで後を追った。
その時、女性ばかりのグループなので、男手が必要になる場合もあるかもと先輩に言われ、坂野と太一も、同行した。
診察が終わって、何とかって言う腸炎で、薬の投与で数日で治るが、点滴が必要なので、2日間の入院と決まった。
結果を聞いて太一達は、佐藤さんのお友達も一緒に合宿所に戻ったが、なんか落ち着かない。
佐藤さんの友人達は、ご両親に知らせたあと、自分達がどうしたら良いのか考えあぐねていた。
明日、佐藤さんのご両親がみえたら、自分達のたてた予定通り、旅行を続けるか、さっさと帰るか。
佐藤さん抜きで楽しんでいるのも気が引けるし、かといって、彼女の為に予定を変えて、帰ってしまったら、彼女、もしかしたら、気にするかもしれないし。
そんな事をうだうだと話し合っていると、部長が、
「良かったら、僕たちの合宿に参加しませんか?」
「えっ?」
「このまま、旅を続けても、いまいち楽しめない。
かといってさっさと帰ってしまうのは、薄情。
だったら、旅の予定をがらっと変えてしまえば良い。
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