第8話 太一 7

が、間違った解釈でルールなどを覚えてしまうのは、良くないので、グランド整備とか、道具の手入れをする代わりに、そのスポーツを「真剣」にやっている人達に、教えを受けたりする場合もある。

マイナースポーツをこよなく愛する人達の中は、無償で、僕らに、そのスポーツの普及の為に教えに来てくれる人もいたりする。


太一は、割とどんなスポーツでも得意。

サッカーをやっていたからなのか、走るのは、お手のものだし、テニスも高校時代に、少し、やった事があったし、バレーボールや、卓球は、小学校の時に良くやっていたので割と活躍できる。

人は、それぞれ、テニスがうまいと、野球は、からっきしだったり。

バスケ好きと豪語していても、シュートは、うまくても、ドリブルがへたくそだったり。

突っ込んだら、「できてたら、今頃プロになってるわ!」って返された。

いろんな人がいるが、その同好会は、いつもワイワイと楽しい集まりだった。


そう、試合に出る訳ではないし、切磋琢磨して、ライバルに負けない様にというような闘志むき出しになる必要も無く、時々、意地になって勝つんだ!と吠えている人もいるけれど、そこは、同じサークル内の、紅白戦。

ほとんどの時間がゆっくりと過ぎて行く。

それが、太一は、ものすごく気に入っていた。

同じ1年生の中に、一人同じ法学部のやつがいた。

坂野真。

始め、見た目、ずいぶんとお宅チックな奴だと思ったが、話すと明るくて、大好きな物は、映画を見たりすること、決して運動神経は悪くなく、けっこうなんでもこなす。


聞いてみると中高時代は、バレーボール部に所属していたが、特に高校では、他校との練習試合ですら勝った事のない程弱いチーム。

どんな大会に出ても、一回戦負けが当たり前。

でも高3になって高1で入って来た二人がずば抜けてうまくて、彼らがレギュラーになって以来、地区大会は、準優勝、都大会でもベスト16までいく快挙。

今年は、新たに入って来た子がまた、バレーセンスが良くて、今年あたり全国大会に行けるかもしれないと顧問の先生が嬉しそうに話していると母校自慢をした。

そのベスト16になった都大会を最期に、ずっと受験勉強をして来て、体は、なまっているけど、今までみたいに、張りつめた部活動は、息苦しい感じがして、のんびりした同好会に入ろうと決めていた。

でたどり着いたのが、この同好会だったと言う。

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