第11話 ミント

時は俺がミントを宿に置いてきた所まで戻る。実はミントには宿で留守番を頼んでいたのだ。今思えばこの判断をして俺は良かったと思う。


「じゃあミント、留守番頼んだぞ」

「わかったよー早く帰ってきてね」

「分かったよ、行ってきます!」

1人で寂しいだろうが仕方がなかったのだ。精霊がこの町に居ると分かったら大騒ぎになりかねない。


「あーあ、暇だなー1人じゃやることないし。とりあえず休憩しよっと」

私は椅子に腰かける。そして目をつぶって眠った。


2時間後


「ん〜よく寝た! あれ、まだ2人とも帰ってきてないのかー、外では何してるんだろ」

私は窓の方に行き、外を見る。そこでお祭りをしているのを見た。


「え、お祭りじゃん! 確かに彩、わたあめ買いに行ってたし。私も行きたかったなー...」

私は羨ましそうに窓に顔を付けて見る。すると端っこに泣きながら立っている男の子を見つけた。


「え、あの子一人で泣いてる!? 話を聞きに行かなきゃ!」

私は急いで外に出ようとした。そこで優斗に言われたことを思い出す。

「そうだ...私が外に出ると騒ぎになるかも...でもあの子を助けたい。そうだ!魔法で羽を隠せば...ごめん優斗!約束破っちゃって」

私は覚悟を決めて外に飛び出し、男の子の元へと走っていった。


「君、どうしたの?こんな所で一人で泣いて」

「お父さんと一緒にお祭りに来てたんだけどはぐれちゃって、」

どうやら迷子のようだ。


「私が一緒にパパを探してあげるから泣かないで? 私の名前はミント! 君の名前は?」

「ほんと...?僕の名前はわたるだよ」

「わたるくんだね! 一緒にお父さんを探しに行こう!」

私はわたるくんと手を繋いでお父さんを探しに行った。


「わたるくんのお父さん〜! ここにわたるくんはいますよー!どこですかー!」

「お父さん〜...どこにいるのー?」

私達は叫びながらお父さんを探す。なかなか見つからない。


どうしよ、お父さんがなかなか見つからない。こうなったら索敵スキルでお父さんを...ダメだ。魔法を使う時は羽を隠す魔法を解かないといけない。私が精霊ってバレたら騒ぎどころじゃすまなくなるかも。


私は困り果てた。どうしてお父さんは見つからないんだろう。


「わたるくん、何をしてる時にお父さんとはぐれたの?」

「僕が射的を見つけてあれやりたい!ってお父さんに言おうとしたらもういなかったの」


なるほど。人混みに紛れてはぐれちゃった感じか...こりゃ探すの大変そうだ。


それから数分探したけれどお父さんは見当たらなかった。意を決して索敵スキルを使うことにした。


「わたるくん。実は私は精霊なの。今から私がスキルでお父さんを探してあげる、だから安心して」

「ミントちゃんは精霊だったんだ!どうりで髪と目が緑色なんだね!」

私はもっと怖がられると思っていた。でもそんなことは無かった。


「わたるくん、お父さんの特徴を教えてくれる?」

「えっとねー、身長は高くて、服は赤くて、スボンは青くて、騎士団長のバッチをつけてるよ!」

「騎士団長!? お父さん騎士団長なの!?」

私はびっくりした。 まさか騎士団長だなんて、でもこれで探しやすくなる!

「そうだよ! 僕の自慢のお父さんなんだ!」

「それはすごいね! じゃあ早速探すね。 サーチ よし、見つけた!」


特徴がしっかりしていてすぐに見つかった。私は羽を隠すことを忘れて、走ってお父さんの所にわたるくんと行った。


「お父さんー!」

「わたる! 心配したんだぞ、あなたがわたるを私のところまで、ほんとにありがとうございます!」

「いえいえ、人助けは普通のことですよ」

良かった。ちゃんとお父さんの所に届けることが出来た


「あなたはもしかして、精霊様ですか? ここにいては騒ぎになります。こちらへ」

私は羽を隠し忘れてることを思い出し、羽を隠した。幸い、走るのが早くて誰にも見られてはいないようだった。


私はわたるの家にお邪魔することなった。


「妖精様、この町には冒険者バッチが無いと入国出来ないはずですが、どうやって?」

「私の呼び方はミントで大丈夫ですよ! 冒険者と一緒に入国する際に髪の毛に隠れてました!」

「なるほど、冒険者と一緒にですか。ミント様、どうぞこちらをこれさえあれば羽を隠し忘れない限り普通に行動ができます。」

お父さんから冒険者バッチをもらった。


「様も付けなくて大丈夫ですよ、それよりほんとにいいんですか? 私は精霊で冒険者じゃないのに」

「いいんですよ。わたるを助けてくれたお礼です。どうぞ受け取ってください」

「ありがとうございます!」

これで私も優斗達と一緒に行動ができる!


「ミントちゃん今日は泊まって行きなよ!」

わたるくんにそう言われた。


「ごめんね、わたるくん。帰らないと一緒に来た冒険者が心配するの。いつか必ず泊まりに来るから!」

「必ずだよ? その時は冒険者もつれてきて!」

「うん! 約束! 」

私はわたるくんと約束をして宿に戻った。 戻ってすぐ私は寝てしまっていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る