第10話 転職の時

今日はやっと転職の日。

俺は心做しかワクワクしていた。


「優斗、彩、あの神殿で転職するんだよ!」

ミントが指を指した方向にあった神殿はとても大きかった。


「さあ早く行きましょ! 早く転職したいわ! 」

彩はとてもはしゃいでいる。よっぽど転職が楽しみなのだろう。


「そういえばミント、冒険者バッチがないのに平然と外に出て大丈夫なのか?」

「実は昨日ねミント人助けをしたんだよ!」

ミントから昨日あったことを詳しく聞いた。俺達が大会に出ている間にそんなことをしていただなんて...さすがは精霊と言ったところか。


そんな話をしているうちに俺達は神殿の前まで来ていた。中に入ってみるとそこには2つの台と神父らしき人が居た。


「よくぞお越しくださいました冒険者様。転職をしにいらしたのですね。どうぞこちらへ」

俺達は神父に連れられ台の前へと歩いていく。


「こちらの台の上に目をつぶり手をかざしてください。その後は台の指示に従ってください。私はここで待っています」

神父はそう言うと少し離れたところで待機をしている。


俺達は神父に言われた通りに目をつぶり台の上に手をかざした。すると台が光り始める。


「転職したい職業を選んでください。」

どこからが声が聞こえる。目を開けるとそこには職業一覧があった。

「そこにある職業はあなたが転職できる職業です。」


職業一覧


見習い剣士:剣を得意とする職業です。筋力、耐性のステータスが上がりやすく、剣を使うスキルを覚えやすいです。


見習い魔法使い:魔法を得意とする職業です。魔力が上がりやすく、魔法系スキルを覚えやすいです。


見習い格闘家:近接戦闘を得意とする職業です。筋力、敏捷のステータスが上がりやすく、近接系のスキルを覚えやすいです。



全部見習いか...まぁ、俺のステータスからするとこんなもんだよな。彩から剣術を習ったし見習い剣士にでもなるか。


俺が見習い剣士を選択しようとした時、急に職業一覧が消えた。


「な、なんだ!? 俺はまだ選択をしていないはずなのに...」

俺には転職をする資格すらないのか。俺はいつの間にか俯いていた。


「職業一覧が更新されました」

その声を聞いた俺は顔を上げ、もう一度職業一覧を見る。

なんとそこには新たな職業があったのだ。


時を操る者:ユニークスキル時の支配者を使える者だけがなれる職業です。ステータスはステータスポイントとなり好きなステータスに振ることができます。スキルは全ての初級スキルを覚えることができます。


「時を操る者...これが俺に最適な職業だな。これに決まりだ」


俺はすぐに時を操る者を選択した。


「時を操る者でよろしいですね?」

はいといいえの選択肢が現れた。二重確認か、親切設計だな。

俺はもちろんはいを選択した。


「時を操る者に転職しました。マイステータスからご確認ください。」

その声を聞くとまた目の前が光った。目を開けると神殿に戻ってきていた。俺は周りを見渡す。彩はまだ職業を選択中のようだ。


「おかえりなさいませ冒険者様、職業は何になさったのですか?」

神父が俺のところによってくる。

「職業は時を操る者にしました。俺に最適な職業と思いまして」

「時を操る者ですか!? そうですか...本当に実在しただなんて...お会いできて光栄です」

神父は笑顔にそう言った。神父の目からは涙がこぼれていた。


神父は時の支配者について何か知っているかもしれない。そう思い俺は神父に時の支配者について聞いた。

「時の支配者は唯一魔王にトドメをさすことが出来ると神話上に記されている最強のユニークスキルです。そして時の支配者を持つ者はもうひとつユニークスキルを発現することができます。ですが、いつ、どのようにもうひとつユニークスキルを発現するのかは分かりません。」

「ユニークスキルをもうひとつ!? そんなことが...」

俺は神父の言葉に驚きを隠せなかった。


「失礼ですが冒険者様、他の方よりステータスが非常に低い気がするのですが...」

「実は、時の支配者は魔王に弱体化をされていて...」

俺は神父に弱体化の事を話した。


「なるほど、そのようなことが...冒険者様、私なら弱体化を消すことができるかもしれません」

「そんなことができるのですか!? 是非お願いします。」

俺は神父の手を掴み、お願いした。


「では始めさせていただきます。リペア...」

神父はスキルを使い弱体化を解除しようとしてくれた。


「すいません冒険者様、魔王の弱体化は非常に強力で全ては解除はできませんでしたが、クールタイムは解除出来ました」

「クールタイムだけでもありがたいです! そう落ち込まないでください!」

クールタイムが無くなったおかげで格段に使いやすくなった。

神父にはほんとに感謝をしないとな。そこで彩が転職から戻ってきた。


「あ、優斗! もう戻ってきていたのね! 私は剣聖にしたわ」

彩の発言を聞くと、神父は驚き彩の元へと駆け寄る。


「剣聖とおっしゃいましたか! 剣聖は剣士の最上位職で言い伝えでは 剣聖と時を操る者、そして賢者が揃った時、魔王は討伐される。 と言われています。」

賢者か...これからは賢者を探すという目標が出来たな。やるしかない....か。


「私も魔王討伐に協力出来るんだ...! 優斗、一瞬に討伐しよう!」

彩は俺の手を掴んでそう言った。

良かった、彩は一緒に魔王を討伐してくれるようだ。


「それでは健闘を祈ります」

そう言って神父は一礼した。

「ありがとうございます。必ず魔王を討伐してみせます!」


俺達は神殿を後にした。次は賢者を探す旅が始まる。

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