第9話 絶対に負けられない

「お前が俺の相手か...お前は弱いな」

「なんでそう思ったんだ?」

俺は焦りながらも聞く。

「俺には覇気が見えるんだよ。お前から出ている覇気は少なすぎる、だから弱い」

どうやらルイは覇気で相手の強さが分かるようだ。


「それでは始めます。試合開始!」

審判がそう告げるとルイは目にも見えない速さで詰めてきた。


「一瞬で終わらせてやる!」

ルイの攻撃には隙がなく、避けるので精一杯だ。このままじゃ押されて負ける...そうだ、彩から教わったカウンターをここで使えばいいんだ。


確かにカウンターは当てた。しかしルイはビクともしなかった。


「ど、どうして...」

「お前カウンターができるのか、少しはやるようだな。でも俺には効かない。なぜなら俺は耐性が非常に高いからだ」


くそ、俺はステータスが低い、このままじゃルイの耐性を超えた攻撃をすることが...


「さっきの女の方がまだやりがいがあったな。お前はあの女より格段に弱い雑魚だ」


雑魚...その言葉を聞いて昔の俺はなんとも思わなかった...でも今は彩とミントのために少しでも強くならないといけなんだ!変わらないと行けないんだ!


「なんだこいつ....覇気がさっきの比にならないくらい大きくなってやがる...まさか!?」

ルイが後ずさる。


「今度はこちらから行かせてもらうぞ」

俺はルイとの距離を一瞬で詰め、攻撃をした。俺の攻撃を受けたルイは体勢を崩した。今しかチャンスはない。俺は攻撃を続ける。


「いける...!」

俺はそう確信した。だが気の緩まったこの一瞬をルイは見逃さなかった。


「なに勝った気になってるんだよ! 勝負はこれからだ!」

せっかくのチャンスを逃してしまったが、負けたわけじゃない。

まだいける......


「うぉぉぉぉ〜! 」

俺達の鍔迫り合いに周りの目は追いつけていなかった。


「これで終わりだ、くらえ!」

ルイの渾身の一撃が来きた。俺はそれをカウンターで跳ね返す。


ルイの剣が宙を舞い地面に落ちる。


「俺の負けだ、優斗、お前途中で強くなったな? なにをした。」

「正直俺にも分からないんだ。 ルイに雑魚と言われた時、変わらないといけないって強く思ったら体から力が湧いてきて...」

俺は上手く口では説明できなかった。するとルイが教えてくれた。


「やっぱりか...優斗、それは覚醒って言うんだ。何かのために勝つという意思がとても強くなった時に一時的にステータスが飛躍的に上昇することを言う。今回は優斗の変わりたいという意思が引き金になったのだろう。」


覚醒......俺はまた強くなったのか。


「今回は俺の負けだ、優斗。だが次戦う時は絶対俺が勝つからな! そんときはまた相手してくれよな!」

「おう!」

俺達は熱い握手を交わす。


そして優勝賞品の風属性の魔法書を手に入れた。これで風属性の魔法も覚えれるようになるらしい。


「おめでとう優斗! あんたやれば出来るじゃない! ホントかっこよかったわ!」

彩が駆けつけてそう言った。俺は嬉しかった。


「ありがとう、彩。さて、大会も終わったし明日転職しに行くか!」

「そうね! どんな職業があるのか楽しみだわ!」


ついに俺たちは明日転職をする。どんな職業があるのか俺も楽しみだ!

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