第6話 特訓の成果

次の日、朝早くから彩に連れられ俺は草原に来ていた。


「今日は優斗にカウンターを教えるわ! 結構難しいけど覚悟してね!」

彩の教え方はとても上手で分かりやすかった。

けれど俺はカウンターを上手くできなかった。


「くそ...まだまだ!」

俺は諦めなかった。もう役立たずだなんて言わせない。少しでも彩の役に立つんだ....


「ここだ!」

彩にカウンターが当たった。


「優斗、よく当てたね!でもねカウンターは未来予知をもってる人の方が火力は高いの。でも練習を続ければきっと優斗も私くらいにカウンターが上手くなるよ!!」

俺は未来予知を持っていないのに彩はなぜこれを教えたのだろう。


「さて、明日からも猛特訓よ!」

「よろしくお願いします!」



俺はその日から数日間、彩に剣術を教わった。様々な技を教わり少しは役に立てるようになったと思う。


「さて...リタウンで戻りましょうか......リタウン!」

彩は確かにリタウンを唱えた...でも町には戻れなかった。


「これはまずいことになったわ...」

彩の顔は慌てていた。


「どうしたんだ?彩、リタウンで戻ることが出来ないのか?」

「ええ、リタウンで町に戻れない時がごく稀にあるの.....その時は、町にモンスターが来ている時よ。こうしてる場合じゃない!早く町に戻ってモンスターを倒さないと!」


彩は俺の事を引っぱり、全力で町に戻った。町には初めて見るモンスターが居た。


俺達は走ってそのモンスターの所に駆け寄る。

「ん?なんだお前達、て、その顔時の支配者を使っているガキじゃねぇか。こりゃあラッキーだここで時の支配者を始末するか」


そのモンスターは人の言葉を話していた...どうやら俺は魔王軍のモンスターには有名らしい。


「優斗には指1本触れさせない! くらえ!火炎連撃!」

彩がモンスターめがけて火炎連撃を放った。しかし、モンスターには傷1つつけることが出来なかった。


「うそ....どうして...」

「俺は炎属性の攻撃は無効なんだよ。残念だったな、お嬢ちゃん。次はこっちの番だ、炎の渦!」

彩はモンスターの炎の渦に囚われてしまった。

一体どうすれば...いや、ここで彩との特訓の成果を見せる!!


「優斗! あなただけでも逃げて!」

「彩、心配しないで! ここで特訓の成果を見せる!」

「でも...」

彩は心配そうだった。いくら特訓したとはいえ、ステータスは低いままなのだから。


「安心して! 絶対勝ってみせる!」

彩には迷惑をかけてきた...ここで少しでも役に立たないと。


モンスターは余裕の表情で言った。

「時の支配者はステータスが低いって聞いたぞ?お前みたいなやつに俺が倒せるとでも?」

奴は俺が時を止めて攻撃してくると知りながら何故そんなに余裕なんだ......? そんなことを考えてる暇はない、やるぞ!

「時の支配者発動!」


「7連撃!」

今の俺には7連撃が限界だ。だが時の支配者発動中はステータスが格段に上がる、いける....

それでもモンスターは灰にはならなかった。俺の攻撃が効いていないのか!?


「優斗、ほんとバカだね」

後ろからミントの声が聞こえる。


「ミント!? どうして、今は時の支配者の発動中なのに...」

「私はね? 時の支配者専用の精霊だから効かないんだ〜! でも攻撃とかは出来ないんだ。とりあえず今の2人じゃあいつには勝てないよ、ここは私が何とかする。」

結局俺は彩の役には立てないのか.....


「優斗、落ち込まないで。時の支配者がパーティメンバーに迷惑をかけるのは当たり前のこと....それでも立ち向かっている優斗はすごいんだよ?」

俺はミントに慰められていた。


「とりあえず時の支配者を解除して? こいつと話をする」

ミントが真剣な顔で言う。俺は言われる通りに時の支配者を解除した。


「久しぶりだねイフリート。元気してる?」

「その声は...裏切り者ミントか......いい機会だ、お前も時の支配者と一緒にあの世に送ってやるよ!」

「そうはさせない。強制転送!」

ミントがスキルを使った。そこにはもうイフリートはいなかった。


「とりあえずこれでよしっと、彩、大丈夫?」

「私は大丈夫だけど、ミントあなたは元魔王軍なの?」

ミントが口を開く。

「実はね...」

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