第5話 彩の実力

俺達は平原に来ていた。


「よし、まずはあのウルフと戦ってみよう!」

ミントが指を刺したのは今のステータスじゃ勝てそうにないウルフだった。


「あいつと戦うのか......やるか 時の支配者発動!」

時が止まるという感覚はやっぱり変だな。とりあえず...やるか


俺は身体能力が圧倒的に上がっている状態でウルフを倒した。

ウルフは何かを落として消えていった。


「時よ、動き始めろ!」

後ろを振り返るとミントが怒っていた。


「なんであんな低ランクモンスターに時の支配者を使ったの!? 普通に戦う練習をしに来たのに....」

ミントに説教されている時だった。空から何かが降ってきた。


「グォォォォォ!」

それはS級モンスターのドラゴンだった。


「なんでこんなところにドラゴンが!? くそ、時の支配者はさっき使ったばっかでクールタイムが......」


後ろから彩がドラゴンめがけて走っている。


「火炎連撃!」

俺が知らないスキルを放ったようだ。


「グォォォォ......」

嘘だろ.....あのドラゴンを一撃で!?


「おかしい....魔石を落とさなかった」

どうやらモンスターは普通倒すと魔石を落とすらしい、ウルフが落としたのも魔石だろう。


「あのドラゴンは偽物だよ。厳密に言えば魔王のスキル『クリエイト』で作られたドラゴンだよ」

魔王のスキルで作られたモンスターは魔石を落とさないようだ。


だとすると俺が初めて時の支配者を使った時のブラックベアも魔王のスキルのモンスターだったのか.....


「でもどうして魔王の作ったモンスターがこんな所に?」

「多分だけど優斗を狙ってたんだと思う。魔王と対等に戦えるのは時の支配者を使える者だけだから」

魔王は俺を恐れているらしい......

今は彩の方を恐れた方がいいと思うのだが....


「それにしても彩、あのドラゴンを一撃で倒すなんてすごいな」

「そんなことないよ、あれくらい普通の事だから」

あれが普通だと...?俺はどんだけ弱いんだよ。


「彩! 俺に戦闘を教えてくれ! 少しでも彩の役に立ちたいんだ!」

「役立たずの優斗が役に立ちたいだなんて......いいわ、教えてあげる! 」

あんなに強い彩に教えてもらえるんだ、少しは戦闘について分かるだろう。


「まずは剣の振り方ね。速く振れば振るほど切れ味は良くなるわ。優斗、振ってみて?」

俺は彩の言われた通りに振ってみた。


「それで本気...?そこら辺の子供の方が振るの速い気がするんだけど....」

自分でも遅いとは思っていたがそんなに遅いとは思っていなかった。


「まぁいいわ、次は剣に魔力を込めてみましょう。そうすることで属性を持った剣になるの、さっきドラゴンに使った火炎連撃は炎属性を持った剣なのよ! 優斗はファイアボールを覚えていたから私と同じ炎属性なら出来そうね。やり方は剣に魔力を流すだけ、簡単でしょ?」

彩の言われた通りに魔力を流してみた、すると剣が燃え始めた。


「そうそうそんな感じ! そのまま振ってみましょう!」

さっきよりは速く振れた感じがした。前を見ると直線上の草は燃えていた。


「優斗、あなた属性剣を使うのが得意なのかも、私にもここまでの範囲を燃やすことはできないもの」

どうやら俺は凄いことをしていたらしい、でもこれで役に立てるかもしれない!


「とりあえずこんなもんかしら、さて次はどうしましょう」

ミントは言う


「次は2人で手合わせをしてみたらどうかな?」

何を言うんだミントは...俺が彩に勝てるわけが無いだろ。


「分かったわ。でも優斗、手加減はしないからね?」

終わった、ボコボコにされる未来が見える。


「行くよ〜!」

20mは離れていたのにもう目の前...このままじゃやられる。


「火炎連撃!」

何とか剣で防ごうとする。

剣筋が速すぎる....一体何連撃なんだ...


「強い...1度距離を....」

俺が距離を取ろうとすると彩はもう後ろに回っていた。どんな反応速度なんだ...


「はぁぁあ!」


俺は渾身の一撃を背中にくらった...

俺は倒れ込んだ。


「やりすぎたかな? でもこれくらいしないと優斗のためにならないし...」

「いてててて....彩、さっきの反応速度は一体なんなんだ?」

彩は教えてくれた。


「あれは未来予知って言う私のユニークスキルよ! 対象の次の行動が見えるの! 」


彩にもユニークスキルがあったようだ。対象の次の行動が見えるなんて...最強じゃないか。


「とりあえず今日はこのくらいにしておきましょう。今日は少し先の町で泊まりましょうか」

「どうしてだ? 彩のリタウンで戻ってもいいんじゃ」


「それなら旅に出たって感じしないじゃない! はい、つべこべ言わずに行くよ!少し飛ばすから2人とも私に掴まって!」


ものの数分で次の町に着いていた。


「今日はこの町で泊まりましょう!早速宿に行くぞー!」

「お〜!」

彩とミントは走って宿に向かって行く。俺も後を追う。


「3名で宿泊ですね。すいません、今部屋が一部屋しか空いてなくて...」


「あ、全然大丈夫ですよ! 」

彩は平気らしい。俺は少し気にするが...


「ではこちらの鍵を。朝食は8時になります。どうぞごゆっくり」

あっさり部屋を借りれた。


「じゃあ私達お風呂入ってくるね! ミントちゃん行きましょ!」

「ああ、分かった。ゆっくりしてこいよ」


俺は2人がお風呂に入っている間色々考え事をしていた。

「時の支配者については未知の部分が多すぎる...クールタイムもあるから気をつけて使おう。明日も彩に剣術を教わるとするか...」


「お風呂上がったよ〜 もう夜遅いから優斗も早く入って寝なさいよー」

俺は彩に言われた通りに風呂に入ってすぐに寝た。




明日から彩との特訓が始まるのか。頑張らないとな!

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