第4話 長旅の始まり

「町に戻ると言ったものの外はもう夜だからここらで1泊かな」

空を見上げて俺がそう言うと彩が自慢げに言う。


「私1度行ったことある町なら瞬間移動出来るの! すごいでしょ!」

彩が俺に顔をを近づけて言う。これには驚いた。彩が瞬間移動を使う事が出来るだなんて...


「それはありがたい! よし、早速町に戻ろう!」

「分かった!行くよ リタウン!」


彩がリタウンを唱えるとすぐ町に戻って来ていた。

「とりあえず今日は家に帰ろう。ミントは俺が預かっておくよ。また明日噴水前集合で!」


明日はちゃんと5分前集合をしよう。


「ただいま〜」

俺が元気にドアを開ける。


「あ、優斗おかえりー!今日も薬草集めか?」

こいつは弟の蓮、まだまだ小さいが将来は俺と同じ冒険者になるため日々特訓してるらしい。


「違うよ、明日から本格的に旅に出る。帰ってくるのはいつになるか分からない」

俺がそう言うと奥から母さんが出てきた。


「優斗が旅に出る?お母さん心配だわ。あのステータスで旅に出るなんて」

連も俺の事を心配そうに見ていた。

俺は時の支配者の事、彩も一緒に旅に出ること、今日あった出来事を母さんと蓮に話した。


「優斗が時の支配者を使える〜!? あれは神話上のユニークスキルなんじゃないのか?」

蓮が半信半疑の目でこちらを見てきたのでステータスを見せてやった。


「まじだ......すげぇ、すげぇよ優斗!ステータスは心もとないけど彩ちゃんがいるなら安心かな」

蓮もお母さんも許してくれるようだ。


「こんな可愛らしい精霊さんも連れてくるなんて......お母さんほんとに嬉しいわ」

母さんは少し泣いていた。よっぽど嬉しかったのだろう。ん?何か勘違いしていないか?まぁ良いか.....


「てなわけで、心配はしなくていい。たまに顔も出すからさ?

2人とも、応援しててくれよ!」


口が裂けても俺には魔王討伐の使命があるなんて言えなかった。


「うん!」

そんなこんなで家族の了承も得たところで明日から旅にでるぞ!

その日の夜変な夢を見た。



「ほら!早く行こう」

そこには笑顔で手を差し伸べてくる女性がいた。少しだけ見覚えがある気がした。


「優斗〜! 朝だぞ! 今日から旅に出るんだろー!」

蓮が起こしに来てくれた。時間は....8時少し余裕があるな。


そういえばミントはどこに行ったのだろう。そう思い蓮に聞いた。


「あ、精霊さんは下で朝食を食べてるよ!」

下からミントの声が聞こえる。


「美味しい!この食パンとやらに私ハマってしもうた!」

どうやら食パンが好きらしい。俺も下に行き、朝食を食べて

今回はしっかり5分前集合できるよう早めに家を出た。


「じゃあ行ってきます!」


もう当分言うことは無いだろう。長旅になるのだから.....


俺は夢の事をミントに話した。


「それは多分、歴代時の支配者の記憶だと思うよ。時の支配者は歴代の1番大事にしていた記憶をたまに見るんだー!」

なるほど。じゃあ俺が見た夢は歴代の1番大事な記憶だったのか......でもあの顔...どっかで見覚えが.....


俺が5分前に着いたらもう彩はそこに居た。

「あ、優斗! 今回はちゃんと5分前集合できたのね!」

笑顔で言ってきた。


「さて、準備したは良いがどこに行けばいいんだろう?」

考えているとミントが言った。


「じゃあとりあえず優斗に戦闘してもらおう! 今までの優斗とは違うんだからさ!」

確かに俺はミントのおかげでステータスが上がった。




やってみる価値はあるか.......

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