第3話 時の支配者について
1時間後
「何とか間に合った」
俺は身支度をするのが下手で少々手間取ってしまった。
「遅い! 何分待ったと思ってるの!」
彩は怒っていた。集合時間には間に合ったのになぜ怒られているのか分からなかった。
「彩、俺はきちんと集合時間には間に合ったぞ? なんで怒っているんだ? 」
そう聞くと彩は答えた。
「5分前集合が普通でしょ!? なのに優斗ったら集合時間ぴったりに来て......ホント信じられない! 」
彩は時間にはうるさいようだ、これからは5分前集合を心がけよう。
「わるい! 少し身支度に手間取ってしまって! とりあえずバルカン山に行こうぜ! 」
「あ、その前に優斗に見して欲しいものがあるの」
「一体なんだ?」
俺が彩に見せるものなんて......
「優斗のステータスが見たいの!すごく低いのは分かっているけど一応ね?」
「ステータスか.......どうやってみせるんだっけ?」
俺はステータスの見せ方を忘れていた。
「えっと、マイステータスって唱えたら見れるはずよ! 」
そういえばそんなこと冒険者になった時に教わった気もする。
「ありがとう、マイステータス!!」
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優斗
レベル1
体力 10
筋力 1
敏捷 1
耐性 1
魔力 1
魔耐 1
スキル なし
ユニークスキル なし
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なんなんだこの雑魚すぎるステータスはそう自分でも思う。
「体力以外オール1!?まさかこんなに低いだなんて........」
彩は俺のステータスが予想以上に低くて驚いたようだった。
俺はこのステータスが見たくなくてステータスの表示方法を忘れていたのかもしれない。
「あ、あぁけどユニークスキル欄に時の支配者は表示されないのか?」
俺は疑問に思い、彩に聞いた。
「そらそうよ! 時の支配者は神話上のユニークスキルなんだから表示されなくてもおかしくないわ」
そういえばそうだった。なら仕方の無いことか。
「ステータスも見たことだし今度こそ出発しよう!」
「そうね でもあの付近にはスライムなんか比べ物にならないモンスターが沢山いるから私はまだしも優斗はくれぐれも気をつけてね? 」
どうやら心配してくれているようだ。あのステータスだから当たり前のことなのかもしれない。
「分かった、今は彩を頼りにしてるよ」
「ありがとう! じゃあ出発ねっ!」
どちらかと言うと彩の方が乗り気だった
「おう!」
数時間後
「ちょ...ちょっと待ってくれ......」
俺は疲れ果てて言った。
「嘘でしょ? このペースなら3日はかかるよ? よし、おんぶする!」
彩はしゃがんでおんぶをする気だ。
「ほんとすまない...頼んだ」
俺は彩におぶられ道を進んで行く。気づいたら寝てしまっていた。
「あ、起きた?もうついたよ?」
彩がそう言った。
「え、バルカン山まで2日って行ってたじゃないか。俺はそんなに寝た気はしないが.....」
俺は不思議で彩に聞いた。
「うん、そのはずだったけどそれはゆっくり歩いての距離だしほんとの目的地はバルカン山付近の洞窟でしょ?そこまでは私が本気で走れば15時間でついたよ!」
それでも俺は15時間も寝ていたのか......彩の体力も凄いが......
「とりあえず入ろっか!」
俺達は洞窟に入った。
「ほんとにこの洞窟であっているのか?洞窟なんて山ほどあるだろ?」
「うん、そうだけど前この洞窟に来たことがあってその時にすごい大きな壁で先に進めなかったの。だからここかなって思ってさ!」
彩はこの洞窟に来たことがあるのか。それにしても大きな壁...開け方を知らないが大丈夫だろうか。
数分歩くと彩が言っていた大きな壁を見つけた。
「これが壁...」
俺が壁を触ると光始めた。
「何が起きた!?」
目を開けると扉が開いて奥に1人の精霊が立っていた。容姿は10歳前後の女の子と言ったところだろうか。
俺達はその精霊の所に歩いて行った。
「汝が時の支配者を使う者か? 答えよ」
精霊は俺に聞いてきた。
「ああ、そうだお前に時の支配者について詳しく教えて欲しい」
「よかろう。まずはその特性についてだ時の支配者を使用中はステータスが何倍にもなる。発動時間は自分で決めることが出来る。ただ、ずっと発動は無理だ。長時間使っていると死に至る」
「死に至る.......か」
俺は精霊に聞きたいことがあったので色々聞くことにした。
「使用回数に制限は無いのか?長時間使っていると死に至る以外に俺に害はあるのか?」
俺の問いに精霊は答えた。
「使用回数に制限は無いがクールタイムがある。クールタイムはステータスの合計値だ。死に至る以外に害はないがデメリットはある。ステータスが以上に低くて上がりにくいのだ汝のステータスも低いだろう」
精霊が言っているのは確かだ、だがクールタイムがステータスの合計値ならあまり上げすぎても時の支配者のクールタイムが増える....だが低すぎたら使っていない時彩に負担が....
そんな考えをしている時精霊が言った。
「汝に我の力を分けてやろう。手を握れ」
精霊の小さな手を握った瞬間体中に電気が流れるような気がした。
「よし、ステータスを見てみろ」
俺は精霊の言うとうりにステータスを表示させる。
「マイステータス」
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優斗
レベル1
体力 100
筋力 50
敏捷 75
耐性 30
魔力 150
魔耐 3
スキル ファイアボール ヒール
ユニークスキル 時の支配者
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格段に強くなっている......がそれでも他の冒険者の半分にも満たしていないようだ。
「今の我にはこの程度しか汝に力を分けることが出来ぬがないよりはマシだろう」
「少しでも分けてくれてありがとう! 精霊さん」
俺は精霊にお礼を言う。
「もうこの話し方疲れたぁ」
精霊の話し方が変わった。一気に幼く見える。
「なんであんな話し方を?」
精霊は答える。
「だってー、精霊ってそういうイメージない? だからさ仕方なく...」
どうやら面白いイメージを持っているらしい。
「ねぇー私ここにいる役目終わったらからついて行くね! これからよろしく!えっとぉ」
そういえば名前を言っていなかったなと思い名前を教えることにした。
「俺の名前は優斗、この子は幼馴染の彩だ精霊さんの名前は?」
「私の名前はミント!これからよろしくね優斗!」
笑いながら見上げる顔は可愛らしかった。
「彩、こう言ってるがミントも連れて行ってもいいか?」
彩は少し不満そうに答える。
「仕方ないじゃない?断る理由もないし.....」
「よし!それじゃ決まりだな!とは言ったものの次はどこに行けば...」
彩と2人で悩んでいる時にミントが言った
「とりあえず、ここから出て町に行こ〜私疲れたから休みたーい」
ミントは相当疲れたらしく眠ってしまった。
ミントを抱えて町に戻ることにした。
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