第2話 俺なんかが...

ギルドに向かっている途中俺はさっき起こったことについて考えていた。


「あれは一体なんだったんだ。突然時が止まったと思えばパワーとスピードも俺ではないみたいだった...」


「優斗〜おかえり!」

この子の名前は彩、幼馴染の冒険者で他の冒険者が比べ物にならないほど強い。


「薬草集めどうだった?ちゃんと出来た?」

「あぁ、ちゃんと集めてきたよ。それより彩、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」


俺は彩に森の中で起こった出来事について話した。


「えぇ〜!?それってもしかして最強ユニークスキル『時の支配者』じゃない!?」

彩は驚きながらそう言った。


「なんだそれ、聞いたことがないぞ?」

「優斗は知らないんだね。分かった説明してあげる」

彩は最強ユニークスキル時の支配者について説明してくれた。


「時の支配者って言うのはね?神話の中に登場するユニークスキルなの。時の支配者を発現した人は魔王討伐の使命がある。なんてことも神話では言われていたよ」

彩がそう説明してくれた。


「ちょ、ちょっと待って?神話に登場するようなユニークスキルがなんで俺に使えるんだ?そして魔王討伐の使命ってなんだよ!俺はスライムすら倒せない役立たずだぞ?俺が魔王討伐なんか出来るわけないだろ!」

俺は少し焦っていた。俺なんかが魔王討伐に行かなければならないのか...と。


「そう思うのも仕方ないわ。とりあえずギルドに行きましょう」

俺は彩と一緒にギルドへ薬草の納品に向かった。


「優斗さんおかえりなさい!薬草の納品ですね?こちらへどうぞ!」

受付の人に連れられ納品を終わらせた。


「彩、時の支配者についてもっと詳しく教えてくれないか?急に魔王討伐って言われてもたまたま発動しただけかもしれないし」

俺は正直魔王討伐なんかしたくなかった。数多くの冒険者達も魔王討伐に向かった以来帰ってこない。

そんな所に行きたくなかったのだ。


「そうね、じゃあ1度ここで時の支配者を発動させてみましょう!他のユニークスキルの使い方と同じならこう唱えるのよ!時の支配者発動ってね!」

俺は彩に言われた通り唱えてみた。


「時の支配者発動!」


俺が唱えると時は止まっていた...

「時が止まった...やっぱり俺は時の支配者を発現したのか...!?」


俺がそんなことを呟いている時に気づいた、彩から解除の仕方を聞いていなかったのだ。


「やばい...どうしよう。時の支配者の解除方法がわからない...そういえば確か彩は時の支配者は神話の中に登場するユニークスキルって言ってたよな。神話の中に解除方法が乗ってるかもしれない!確か、図書館に神話についての本があったはず...行こう」

俺は時を止めたまま図書館に向かった。


「時を止めている間は足がものすごく速いな。これならすぐ着くぞ」

ものの数分で図書館に着いた。


「神話についての本はどこだろう...」

俺は図書館で神話についての本探した。


「あった...ここに載っているぞ。えっと、時よ...動き始めろ!」

俺がそう言った瞬間時が動き始めた。やはり俺は神話の中に登場するユニークスキルを使えるのだ。


「元に戻った事だし彩のところに戻ろう。この本はなにか役に立つかもしれない、貰っていこう」


俺は来た道を戻った。時間でいえば倍以上はかかっただろう。


「あ、優斗!探したんだから!急にいなくなって」

彩が心配しながら言った。


「ごめんごめん、彩から解除方法を聞いていなくてさ、図書館に神話についての本を探しに行ってたんだよ!」


「あ、そうだったね!でもユニークスキル事に解除の仕方って違うんだよ。だから私は時の支配者の解除方法知らないんだよ!」

彩は当たり前のことを説明するように言った。


「それなら俺が図書館に向かわなかったら今頃どうなってたんだよ...彩の行動には呆れるよ」


「ごめんってーそれで他に分かったことはある?」

彩は俺にそう聞いた。


「いや、解除方法以外はまだ、とりあえず神話を読んでみよう」

俺は彩と一緒に神話を読んだ。すると彩がおかしなページを見つけた。


「あれ...このページなんて書いてあるか分からない」

彩はそう言ったがおかしい、俺には読めたのだ。


「時の支配者を発現したものはバルカン山付近の洞窟に来い。時の支配者についてを教えるか...」

俺がそうつぶやくと彩が驚きながら言った。


「えぇ!優斗これ読めるの!?もしかしてこれは時の支配者を発現した人にしか読めないのかも...」

彩はそう考えていた。俺もそんな事だろうと思った。


「とりあえずバルカン山付近の洞窟に向かおう!ここからどれくらい離れているんだ?」

俺はこの町と森から外については何も知らない。彩が頼りだ。


「バルカン山ねぇ....こっから歩いて2日くらいかな?」

俺が思っていたよりも遥かに遠かった。


「そんな距離が...でも行くしかないか...早速準備するか」

俺は準備をしようと家に戻ろうとした。その時彩が引き止めて言った。


「待って!私も行く」


彩がそう言い出したのだ。


「それは嬉しいが...彩にはもっとやるべき事があるんじゃないか?」

俺は彩に一緒に来て欲しかったがそんなことをすると彩の評価が下がるかもしれない。だからそう言った。


「大丈夫だよ!私、どこのパーティーにも入ってないし今はクエストも受けていないからさ!」

俺は驚いた。あの彩がどこのパーティーにも入っていないなんて...


「分かった...だが俺は時の支配者を発動していないうちはただの荷物だぞ?」

俺はそう言ったが彩には考えがあるらしい。


「大丈夫!ゆっくり歩けば良いし!優斗がつかれたらおんぶして歩くから」

「おんぶ!?」

彩のノーテンキぶりには驚かされる。だが彩を頼るしか今の俺にはなかった。


「分かった、彩も一緒に行こう。準備をするから1時間後に噴水集合な!」

俺はあやにそう伝えて家に戻った。




これから俺は彩と一緒にバルカン山に行く。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る