『時の支配者』〜役立たずと呼ばれた俺が神話に記された最強のユニークスキルを手にする〜
ゆきや
第1話 最強ユニークスキル『時の支配者』発現
俺は冒険者として働いているがスライムすら倒せない、いわゆる雑魚だ。
今はは森で薬草を集めるクエストを受けている。
「ふぅ...ようやく集まったよ」
俺は基礎能力が他の冒険者よりも格段に低いらしい。だから薬草を集めるのでも疲労困憊だ。
「そこの人助けてくれー!」
後ろから叫び声がする、なんだろうか。
「どうしたんですか?」
俺はそう聞いた。だが聞くまでもなかった。
こちらに向かって来る男の後ろから大型モンスターが走ってきている。
「あれは...ブラックベア!?なんでこんな森の中に...」
そう思うのが普通だった。
なぜならブラックベアはいつもは洞窟の奥深くに住んでいるからだ。
そしてブラックベアは凄腕冒険者でも苦戦するほどのモンスターS級に分類される。
「はぁはぁ、君、そのバッチ冒険者か!?この剣を貸すからやつを倒してくれ」
男がそう言った。
「確かに俺は冒険者ですがスライムすら倒せない雑魚なんです、俺には無理です」
そんな話をしているうちにもブラックベアはこちらに向かってきている。
「スライムすら倒せない?まさかお前、役立たずで有名なあの優斗なのか、今はそんなことどうでもいい、やつを倒してくれ!」
何を言っているんだこの人は、今の話を聞いて俺がブラックベアと戦うと思うはずがないのに...
「グルァァァ」
「いつの間に!?」
ブラックベアがすぐそこまで来ていた。もう終わりだ、せめてこの人だけでも逃げる時間を作ろう。俺は覚悟を決めた。
「くらえー!」
俺はブラックベアに向かって走り出した、
「グルァァ!」
ブラックベアが腕を振りかぶった。その速度は俺の目には追えなかった。
俺は剣で攻撃を防ごうとした。だが、剣にブラックベアの腕が当たることは無かった。
「どうなっている...」
俺は状況を飲み込むことが出来なかった。
それもそのはず、自分以外の時が止まっているのだから。
「時が...止まっている!?」
驚くことはそれだけでは終わらなかった。
「なんだ...体が妙に軽いぞ...力が湧き出てくる気がする!今ならいける!」
俺は今しかチャンスはないと思いブラックベアの足めがけて攻撃をした。すると足が切れたのだ。
「ありえない...スライムすら倒せない俺がS級のブラックベアの足を一撃で切り落とすなんて...だがチャンスだ!」
俺は勢いのままブラックベアに攻撃を続けた。
するとブラックベアは灰になって消えていった。
「どうして灰に...」
俺は忘れていたモンスターは倒されたら灰になって消えていくのだ。
「勝てた...俺がブラックベアに!?」
目の前のありえない状況に混乱を隠せない。すると時が進み始めた。
「もうおしまいだ...て、あれ?お前よブラックベアはどうしたのだ?」
「あ、え、あ!急に飛んで逃げました」
俺が時を止めて倒した と言えるわけがなく見苦しい言い訳を着いた。
「そう...なのか...いや、分かった。俺は帰るとするよ。その剣はお前にやるよ」
男はなにか知っていそうだったが何も言わずに立ち去った。
「俺もとりあえずギルドに薬草を渡しに行くか」
俺は地面にちらばった薬草を拾いギルドへと向かった。
俺はまだ知らなかった。この先に待ち受けるさまざまな出来事を...
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