第1話 プロローグ
「…ここは……?」
そう言いながら頭を押さえている少女の名は、三上美琴。彼女はつい先程車に轢かれそうになっていた猫を助ける為に飛び出し……死亡した。
死を覚悟し(実際に死んだ)、気が付いたら何もない真っ白な空間にいたという事実をちょと、いや、かなり真面目に受け止めきれずにいた彼女に、後ろから話しかける存在が居た。
「此処は死後の世界ですよ、三上美琴さん。貴方は先程、車に跳ねられ死亡しました」
※※
私の名前は三上美琴。何処にでもいるごく普通の女子高生だ。今日は学校の後にバイトが入っていた為、早歩きでバイト先に向かっていたら道路に…一匹の白猫が飛び出した。その白猫に車が迫っていて……気が付いたら物凄い衝撃と浮遊感が来て車に跳ねられたことに気が付いた。多分、猫を助けるために飛び出したんだと思う。体が熱かったり、寒くなったりして視界がどんどんあやふやになって……気が付いたら、此処にいた。
そして現在、神様(?)を名乗る女性から説明を受けています。
「落ち着きましたか?それでは改めて説明させていただきます。私はノア。女神です。三上さん、貴女は道路に飛び出した私の妹を、リディアを身を挺して救って頂き有難う御座います」
妹?…あの白猫が?
「あれは地上に降りる為の擬態…みたいなものです。リディアがあそこで轢かれていたら余波で地球が狂ってしまう所でした」
怖!?…さらっと流したけど、さっき神って言ったよね?え、本物?
「本物ですよ?私は破壊を司る破壊神です。リディアは創造を司る創造神です」
本物なんだ……てか、さっきから私一言も喋ってないんだけど?もしかして、思考、読めるの?
「思考、というよりも心の声ですね。貴女が思っている事を読み取ることが出来ます」
それを思考というのでは?
「違います!それよりも、話を進めても宜しいですか?」
あ、はい。お願いします。
「では、続けます。貴女は本来なら死ね筈が無かった人です。その事とリディアを救ったことを踏まえ父と母、兄妹達を集めて緊急会議の結果、貴女を転生させることになりました」
転生?え、拒否権無し?
「ありません。ですが、ただ転生させるのではなく、地上で言う"転生特典"というものを付ける事になりました」
あー、成程。テンプレ?ってやつですね。分かりました。特典ってことは一つじゃ無いんでしょう?何個?
「貴女の"魂の器"はかなり大きいので、物によりますが大体五~六個ぐらいですね」
おお!…と言っても、どんな世界に転生するのかが分からない事には選べないよ?下手なの選んで即死亡とかシャレにならないし。
「それもそうですね。転生先は"問題児たちが異世界から来るそうですよ?"という地上の小説にそっくりですよ」
確か、角川文庫の小説だっけ?私は読んだこと無いからよく知らないけど。…死ぬ可能性、有る?
「バリバリ有りますね。主人公達ですら死にかけてますから。小説の中では何人か死んでますよ」
バリバリデンジャラス!!それならなおさら慎重に選ばないと…!!!
「ゆっくり時間をかけても大丈夫ですよ。此処での1日は地上では1時間ぐらいですから」
時間の流れが違うんだ。流石神界?
「では、決まったら教えてくださいね」
あ、待って!一緒に考えて!私だけじゃ決まらない!!
「……分かりました。良い案が出るか分かりませんがそれでもいいのであれば」
有難うございます!
※※
~一週間後~
決まったアァァァ!!
「漸くですね。それでは確認します。
・ありとあらゆる空間を操る"空間操作"
・不治の病であろうと致命傷であろうと関係なく治す"
・"未来視"や"真偽眼"、"鑑定"、"千里眼"、"暗視"、"透視"、"念写"、"拘束"と言った複数の魔眼――複合型魔眼"
・そして、美琴や能力のサポートをする"賢人"
――この四つで良いですね?」
はい!異論ありません!
「美琴の魂の器が大きいとはいえ、結構ギリギリですね。残りは身体能力等諸々に回しますよ?良いですね?」
うん!お願い。
「後は見た目ですが……何か要望はありますか?あ、それと言い忘れていましたが左眼は魔眼の関係で赤眼となっています。また、記憶は四歳頃に思い出しますよ」
分かった。それなら、眼は左眼と同じ赤目…いや、大胆に碧眼で!髪は希望無し。容姿は……普通よりもちょっと美人って感じで。『うわ、すっごい美人!』って感じにならなければ良いかな。背は低めで。あ、合法ロリとかにならない程度で!
「はい、分かりました。違和感が出ない様に、御両親となる方々はそれなりの美男美女で、外国人の血が混じっている方達にしますね」
あ、そっか。容姿的にそうなるのか。そこまで気が回らなかったよ、有難う!
「いえ、それでは美琴。その扉を潜れば転生します。良い来世を」
……うん!この一週間ありがとうね!ノアさんも元気で!
そうして、三上美琴は旅だった。
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