第359話


 突撃してくる小さな一つ目の塊を避けると、それをUターンをして再度カイに突撃を仕掛ける。

 それが一つだけならば楽だったが、数えきれないほどに多くの塊が襲い掛かってくるため、移動しながら一つ一つ叩き落していく。ベチャと音を立てて落ちた塊は潰れたように薄くなり灰色の液体をまき散らす。そのためカイが通り過ぎた場所には灰色の道が出来上がっていく。

 カイは小さな塊の対処をしている間、本体はと言うと胴体に生み出した人間の口から小さな灰色の塊を続けて生み出していた。生み出す速度がカイが処理する速度を上回っていた。


(どんどん離される。どうかしないと……!)


 最初は近づこうとしていたが、今では数があまりにも多いため対処するだけで手いっぱいになっていた。それも数がどんどん増えているため対処しきれなくなっていき、少しずつ離れながら対処していた。


 50mほど離れた時、本体の方向から衝撃音が聞こえ、そちらの方向を見れば本体の姿がなくなっていた。

 飛んでくる小さな塊を上空に蹴り上げると、遥か上に灰色の塊が見えすぐにその場から離れ始める。その判断は正しく、カイが離れてすぐに巨体が降ってくる。下にいた小さな塊たちは下敷きになりつぶされる。自分で生み出した物を自分でつぶしたことに衝撃を感じながらもカイはすぐに本体に攻撃を仕掛ける。

 先程まですっかり動かなくなっていた腕に生み出された動き出す。それだけでなく胴体にできた顔も開いたままで小さな塊を生み出し続けていた。


 先程の攻撃の被害にあわなかった塊と生み出される塊、それから本体からの魔法による攻撃が飛んでくる。それを避けるために離れれば先程と同じように飛んで移動してくる。


(着地した瞬間が勝負!!)


 小さな塊が増える前に離れ始めたカイを追って本体が大きく跳ねる。

 衝撃を受けながらも着地に合わせて接近したカイは、剣を握り目玉に剣を突き立てようと動く。

 本体は胴体、腕にある顔を閉じたまま着地をする。

 開いたまま、目が合った状態でカイは管理人だった物の瞳の隣足を付けることに成功する。もちろん抵抗し始め、体を揺らして振り払おうとするため、足から氷を出し自分の足ごと凍り付かせくっつけて固定させる。


 抵抗が激しかったが握っていた剣をしっかりと握り直し突き刺すために下に全力で落とす。

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