第349話
挑発的な言葉を投げかけられたが、カイは反応を示さずに両腕に氷を纏わせ戦闘態勢に入る。それに合わせてハルマの攻撃が再開される。
ハルマは巨大な顔だけを目の前に生み出すと口を大きく開け、そこから黒い水を大量に一直線に流してくる。
それを避けるのは難しいことではなかったため軽く横に跳ぶことで避けたが、水の勢いが止まることはなく、その状態でハルマは鼻で笑うとカイを追って顔を動かす。ハルマの口から放たれる水は止まることなく追い続けてくる。
当たらないために走り続け接近するカイにハルマは何もない空間から魔法を飛ばして妨害する。それをカイはわざと紅い氷を纏っている場所にぶつけることで蒸発させることで対処する。最初はそれで対処できていたが、ハルマの手数がだんだんと増えていっているため対処できないと判断したカイは四方八方に両腕の氷を伸ばし守る範囲を増やす。自分で張った氷を飛び超えながら接近するカイにハルマの攻撃の手が激しきなるが、周りに張った氷に当たることで防いでいた。
「こざかしい。我にその魔力を渡す。それにどこに不満がある?」
「そんな下らないことを聞きたいから手加減してるのかな!」
巨大な顔の目の前に到着したカイが顔を殴ると顔が霧散していなくなり、離れた場所口角を上げたハルマの顔が現れる。
「我はお主と話したいだけだ。特異な魔力を持ったお主と。生まれたときからその魔力を持っていたのか?それとも人為的に生み出された物なのか?もしそうならばどうやれば特異な魔力を手に入れられる?」
一方的に話しかけてくるのを無視して最後ハルマの顔に向けて近づき始める。それに合わせてハルマもまた黒い水を飛ばす。カイはそれを同じ方法で対処する。ハルマが対策して氷を貫通したとしても対処できるように警戒していたが、その心配は無駄に終わり、またハルマの顔に近づき殴る。
同じやり取りを何度か繰り返して、カイは違和感を強く感じていた。
(魔力が一切なくなる気がしない……。やっぱりこの空間……)
「魔力が減らない。そう感じ始めたころだろう」
「人間は体内の魔力が減ると空中にまっている微量の魔力を吸うことで体内の魔力を回復させる。魔人の魔力が強いのは我の魔力が結果内に充満していたから魔力が人間よりも強いのだ。その魔人が住む空間よりもここにまっている魔力は濃い。それによりお主の魔力が尽きないのだ」
話すハルマを再度無視して攻撃を仕掛ける。その状態でハルマは口角を上げたまま話続ける。
「そろそろ気づいたころではないか?」
その言葉にカイの動きが止まり、ハルマの攻撃の手も止まる。
「ここにまっている魔力は先ほど吸収したお主の仲間たちなどの物だと」
顔を強張らせたカイはすぐに動き出しハルマの顔を殴りつける。
「仲間の魔力がなくなるぞ?」
「その前に倒す!!」
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