第348話
氷のドームがひと際大きな音を立て崩れ落ちてくるのを見ることしかできず、波にのまれたところで意識を失ったカイは、真っ黒で、光が少しもない空間でカイは目が覚ます。
何もなく、無重力に感じる空間となっており、頭が上を向いているのか下に向いているのか、まったくわからない状態だった。そんな空間だったが、呼吸は普段通りにすることができ、違うところといえば空間に漂う魔力の量だった。
魔人領ほど濃くはないが、人間領よりは濃かったため、先ほどまで使っていた魔力が急速に回復するのを感じていた。
見渡す限り人どころか物なども見つからず、本当に何もない空間だった。
その空間を泳ぐようにして移動をするが、何も見えてこない。そもそも移動できているのかもわからない状況だった。
いくら移動しても何も見えてこないため、両腕に蒼い炎を纏わせる。生まれた明かりにより周りが照らされるが何も見えてこない。そんな中で周りを見ていると、顔が上下になった状況で人の顔が目の前に出てくる。
「ようやく来たな」
髪色が金髪で違うが先ほど戦ったハルマが出てきて驚く、すぐにその顔に向けて拳を伸ばすが、貫通し霧散するだけでダメージを与えられていなかった。
霧散後は少し離れた場所に今度は向きがあった状態で現れる。
「ここは我の作りだした吸収をするための空間だ。よって……」
足元から上に向けて圧力を感じ、どんどん上がっていきハルマの顔から離れていく。
上を見れば、大きなハルマの顔が表れて大きく口を開いていた。気づいたハルマはすぐに纏うのを紅い氷に変え、ハルマの顔に向けて手を伸ばし、顔全体を氷つかせその場に着地する。
「このようなことも容易にできる」
氷つき動かないと思った顔が声を発したため下に視線を向けたすると、ハルマの口が動いていたため、すぐに離れようと跳ぼうとする瞬間にその顔がいなくなる。飛ぶのを止めると今度は全体から声が響いてくる。
「いつまで持つか。楽しませてもらおう」
いうのと同時に意識を失ったミカ達が表れる。
「人は守る物があると強くなるのだろう?これでどうだ?」
ミカ達に向けて飛び、手を伸ばすが一行に近づくことができず、目の前にハルマの顔が表れる。その顔を殴ると同じように霧散する。
「さぁどうする?カイ」
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