第347話
瓦礫の隙間から出始めた黒い水はいくら出ても勢いが止まることがなく、地面に零れ落ちた水は、最初は流れるだけだったが、水の勢いと共に量も増えていたため津波になっていく。
最初は横に跳ぶことで避けていたカイ達も、水の量があまりにも多かったため、カイが氷の壁を巨大に作ることで防ぎ始める。
巨人の肩にいたミカ達はアルマ達に助け出してもらうことで難を逃れていたが、黒い水はアルマ達を飲み込もうと数えきれないほど多くの触手のような物に形を変え追いかけまわし始める。
すでに数多くの触手が追いかけてきているというのに、時間が経てば経つほどに数が多くなっていき、最初は完璧によけられていたアルマとRだったが、だんだんとかすり始める。
「もっと上飛べないの!?」
「無理!!」
「あなたは?!」
「こちらも不可能だね」
アルマとRがより上空に向かおうとすると、先に上級に置かれていた触手が捕まえようと動くため逃げられなくなっていた。
抱えられている状態でミカ達が魔法飛ばすことで触手の数を減らしているが、はじけると同時に再生し意味を成していなかった。
地面にいるカイ達のほうは、壁が持たなくなり始めていたため、ドーム型に変形させこもり始めていた。壁の崩壊と共にドームは黒い水の波にのまれていく。
数えきれないほどに多くなった触手に、対処しきれなくなったアルマとRは、ついに足首をつかまれてしまう。それに気づいたミカとフラージュが絡んでいる触手を破壊したが、それによって周りの触手が十分に破壊されずより多くの触手がミカ達をとらえ始める。
ドームに籠城することで抵抗を見せたカイ達だったが、そのドームの表面は徐々に溶かされているうえに、かかる水の量が多くなっていっているためドームがきしむ音が響いていた。
「下を掘るか?!」
「掘っても水に追いつかれる」
「これ以上は魔力を消耗できないし溶かされてる!」
巨人からあふれた黒い水はいつの間にか作られた壁によりたまっており、大きな黒い湖となっていた。
アルマ達を捕らえることができた触手はその大きな湖に引きずり込む。アルマとRは最大限抵抗していたが、その抵抗も虚しく飲まれていく。ドームの中にいたカイ達も対策を考えていたが、ドームを溶かす速度が速く、黒い水に飲み込まれていった。
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