第343話


 ハルマ?の両手にできた2つの球体は螺旋を描きながらカイに向けて飛んでいく。

 氷でできた剣を横に一振りすることで吹き飛ばしたカイ。すると、黒い水が落ちた場所が煙を上げ始める。離れて見てみれば、黒い水が地面を溶かしており、それにより発生している煙だった。地面が溶けたことを確認したカイはすぐに氷の剣を消し、蒼い炎の剣に切り替える。

 その切り替える瞬間に再度ハルマ?が水の球体を飛ばしていく。先ほどとは違い、連続で投げ始める。

 その球体はすべて切りつけ凍り付かせていく。凍り付いた球体は飛んでくる勢いそのままに壁に向かって飛んでいく。そして、地面に衝突すると崩れることなく、地面に落ちていく。そのためだんだんと床が球体で埋められていく。

 ハルマ?が撃つのをやめないため、カイも剣を振る腕を止めず、すべて凍り付かせていく。

 地面を氷の球体が埋め始めると、ハルマはついに魔法を放つのをやめ、カイのことを指さす。


「我の予想通りの動いてくれたこと、感謝しよう」


 言葉を発し始めると同時に指先に魔力を集めていたため、カイは警戒しながらも、隙ができたときに瞬時に攻撃するためにゆっくりと近づき始める。

 すると自分の顔めがけて小さな魔力の塊、塊というよりも粒と呼んだほうがふさわしいほどの小さい物が飛んできたため、カイは剣で防ごうとするが、その魔力の塊は剣を貫通し、そのまま突き進んでくる。当たる寸前にしゃがむことでよけたカイ。当たった壁を見れば、何をしても傷一つ付かなかった壁に穴ができており、そこを中心にヒビが入っていた。

 小さな魔力の粒は小さな水の粒であり、カイの剣によって途中まで凍り付かせることができたいたため、壁から氷塊が零れ落ちてきて、溶けて地面を溶かし始める。


 しゃがむことで避けたカイに向けて、ハルマ?は最初の一撃は試しただけだと言わんばかりに、次の攻撃からは止めることなく連続で放ち始める。

 剣では溶けることができなかったため、カイは受け止めるの止め、避けるために動き回り始める。床だけでなく、天井と壁、部屋にある物ならば何でも使い避けていく。それを追ってハルマ?は水の粒を飛ばしていく。そのため壁や地面にだんだんと穴が増えていく。

 避けているカイだが、先ほど凍らせた氷の玉が地面に広がっているため、走りづらかったため、氷を砕いて走り回る。氷の塊を壊しているのはカイだけでなく、ハルマ?がカイに向けてはなった氷の粒が壊していた。

 部屋がどんどんボロボロになっていく中で、カイは反撃せずに避けることだけに専念する。それをハルマ?は避けることしかできないと思い、油断し始めていた。


「弱気は淘汰され、強きものが搾取する。それが自然と言うものだ。そして我は絶対的な強者。全生命体は我に搾取されるのがこの世に生まれたものの定めと言う物だ。なぜその定めから逃げる?」

「そんな考えの人には一生懸命に生きる人の考えなんて一生わからないんだろうね!!」


 地面に転がっていた全ての氷の塊が砕けると同時に、ハルマ?は魔法を撃つのを止め、腕を下す。


「低俗の生き物の考えなど考えるだけ無駄。強者である我の糧、もしくは楽しませるためだけに生きているのであろう?どうして我が考えなければならない」


 そう言って鼻で笑うハルマ?は両手を上げ、首を横に振る。

 目に見えて出来た隙を使い、カイは剣を握り直し即座に懐まで入る。

 距離があったため、懐までは入られないだろうと油断しきっていたハルマ?はその剣を止めることができず、カイの剣はハルマのことを切りつける。切られたことでハルマの体は縦に真っ二つになり、次いでカイは首を切り落とす。


「言ったであろう。我を殺すことは不可能だと」


 切り落としたというのに口が動き、喋るハルマ?。笑みを浮かべるその顔は、見下し続けるを止めなかった。そして、徐々に胴体が液体に代わり頭のある方向に向けて集まり始める。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る