第335話
「お嬢っ!!」
床の崩壊と同時にRの大きな声がが響く。呼ばれたアルマは近くにいたシャリアとラウラのことを横に抱える。
「足掴ませていただきます」
爪先が刺さらないように飛ばしたリオは宣言通りアルマの足首にしがみつく。
抱え込まれたラウラは未だに落ちているカイ達の下から風を送ることで落下速度を落とし始める。
全員が体勢を整え始めるとRは離れた、下の方向に向かって飛んで行こうとする。その先には自由落下しているハルマの姿があり、先程の爆発の中心にいたためボロボロになって上に、体勢を見る限り気絶しているようだった。そのハルマを救うためRはグングン速度を上げて行く。地面まではまだまだあったためぶつかる前に接近出来たRはハルマの左手を掴もうと伸ばす。その瞬間ハルマとRの間を何かが高速で横切る。何かが横切ったこと、Rの片腕が飛んで行ったことを認識できたのは同時だった。
横切った何かによってハルマは回収されており、それはベチャと音を立てて壁にへばり付いた。全員が何かのことを見るとそれは黒いヘドロだった。
それに向かってカイとミカが攻撃を仕掛けるが、届く前に上空に向かって飛んで行ってしまった。
「R!」
「だ、大丈夫……」
切られた左腕を抑えながら飛んでいるRだが、弱々しく今にも落ちてしまいそうだった。ラウラが風を操りフラージュをRの近くに寄せて、フラージュが応急処置を始める。
そうこうしている間に床が見え始めたため、全員が着地の体勢に入る。
降り立った場所は先ほどの訓練場から結晶を無くしたような場所だった。だが先程と違い、壁は汚れ地面も割れておりお世辞にも良い状態とは言えなかった。また、結晶が先に落ちていたため砕けた結晶が辺り一面に広がっていた。
応急処置をしたとは言え、まだ痛みが抜けていないRが着地と同時に地面に座り込んだため全員がRの下に集まり出す。
「わ、悪いね。油断した」
冷や汗をかきながらもなんとか立ち上がったRをつれて奥に進み始める。
少し進むと先程まで視界に必ず入っていた結晶が無くなり、無機質な壁が続く。だがそれだけではなく、通路には所々に何かの骨がたびたび落ちており、進めば進むほどに骨が増えて行く。
通路は長く続いており、何部屋か横を通る。全ての部屋が扉を破壊されており、カイ達は部屋を覗くだけ覗いて進む。部屋は例外なく全て同じ作りで、中には壊れた質素なベッドしかなかった。
しばらくの間進んだ通路も終わりを見せ始め、壊れていない扉が目の前に現れる。
建てつけはかなり悪く、力をかなり込めても少しずつしか開かない上にかなり大きな音が響き渡る。
開けるとそこは先ほどまでの部屋とは比較できない程に広い部屋に出た。
そして部屋の奥に玉座に頬杖をついて座る男がいた。
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