第328話
ミカとフラージュの下に四天王が向かうと言う予想外な事が起きて心配していたリオとRだが、相性の関係から2人なら不意打ちじゃなくても倒せると判断して、作戦通り自分達が担当になった四天王の下に向かう。
2人が担当することになったのは、前に話し合い中に入り込んできた霧だった。
霧という実態が無い物と戦うことで、どうするか考えてるうちに四天王が控えている屋敷を目視できる距離まで接近した。
「中に結構いるね」
「それは貴方が何とかするのですよね」
今まで走って来たのに対して、屋敷の前に着くと2人はのんびり歩き出す。
歩きながらRが杖を振ると、杖の先から光の球が3つ生み出される。その光の球は勢いよく屋敷に向かい、窓ガラスを割って入っていく。その瞬間、屋敷の中が騒がしくなる。2人が扉に着くころには先程までの騒ぎは落ち着いており、魔力の反応はほとんどが地面に這いつくばっていた。
リオは容赦なく扉を蹴り飛ばし中に入る。そこには大量に魔人が倒れていた。
ほとんどの魔人が体に何ヵ所か穴が開いて絶命していたが、中には生き残った者もいたため、それは入って来たリオに向けて最後の力を振り絞って魔法を撃とうとする。
手を向けて撃とうとした者は、向けた腕が瞬きをしている間に飛んで行っていた。「自分の腕が無くなった」そのことに気づき反対の腕を向ける者もいたが、その反対の腕も無くなっており、痛みでその場っで悶えることしかできなかった。
予備動作無しに魔法を撃とうとした者はその瞬間、自分が中に浮いている上に最後は倒れている自分の体を眺めるという景色を人生最後に脳に焼き付けていた。
「まだまだいますけど。四天王以外は任せろとの話しでしたが?」
「そんな無茶言わないでよ。こっちは戦闘に慣れてないんだから~」
そんなことを言いながらも、屋敷の奥の方の魔力の反応が着実に減っていることにリオは分かっているため呆れた表情を浮かべる。
「標的はまだ部屋にいるみたい。外の騒ぎに気づいてないのかな?」
「それは好都合です」
転がっている生き残りを倒しながらリオ達は歩を進める。
階段を上り、他よりも豪華に作られた扉の奥には数人の魔力の反応がある。
「では作戦通りに」
屋敷に入るときとは違い丁寧に扉を開けてリオだけが入っていく。そこは寝室で、ベットの上に複数の女性が寝ていた。目的の四天王を視認できなかったが、上から霧が不自然に降ってくる。それを一跳びで簡単に避ける。
「不意打チハ意味無イッテカ?1人デ入ッテクルナンテ馬鹿ダナ~」
ケラケラ笑いながら、頭上で霧が集まっていく。リオは念のために距離を離す。
だんだんと霧の範囲が広がっていき部屋全体を覆う。その霧がかなり濃く、目の前が見えなくなる程だった。
「く、苦しい……」
霧の中のいる者達は呼吸が出来なくなるようで、先程まで寝ていた女性達が苦しそうの声を上げる。それを聞いてより一層霧の笑い声が大きくなる。
「ノコノコト入ッテ来タノハ「ミス」ダッタナ~。密室デ俺ニ勝テル奴ナンテ、イナインダヨ」
女性達の苦しそうな声がだんだんと弱くなっていくのと同時に、笑い声をあげていた男の笑い声も無くなっていく。
「テメェ、ナンデ息デキル」
女性達と同じ様に霧の中にいるのに、リオは苦しそうにすることは無かった。
そのリオだが、よく見ると体の表面に水の膜が張られていた。。
「貴方の霧が体内に入ることで、呼吸出来ないようになる。そのことは知っていたので対策させていただきました。霧と言っても元は水。ならば操ることは容易です」
体に纏わせていた膜は徐々に多きくなって行く。その膜の中は通常の空気と同じで霧など一切存在していなかった。
「貴方は魔法を授かった時点で体が霧になったと聞いております。そしてその力を霧を操るだけでそれ以外を操ることは出来ないと」
「サッキカラ何言ッテヤガル!」
霧を一ヵ所に集め、勢いよく水の膜にぶつけるが膜には一切の影響がないどころか、ぶつかるごとに大きくなる速度が速くなる。
「私に貴方の存在を教えてくださった方はこうも言っておりました。貴方は『一兵卒の兵士よりも戦闘力が無い』と」
「クソッ!」
水の膜を攻撃するのは止めずに、霧の一部が扉に近づいて行く。そしてドアノブに手をかける。だが、そのドアノブは回るには回るのだが、扉を開けることは出来なかった。
「ナゼ!?」
「貴方が言ってたじゃないですか。1人で入ってくるなんて馬鹿だと。もう1人が何もしてないとでも?」
リオが部屋に入ったのを確認した瞬間に、Rは杖で光の球を操ることを続けながら懐に持っていた
それはベッセル城の結界を維持している物と似た見た目だった。
Rはゆっくりとそれを地面に置くと魔力をゆっくりと流していく。するとリオが入った部屋の周りに魔力の板が一枚ずつ出来て行き、遂には箱になった。
この
「もう貴方に逃げ場はありません」
最後まで部屋中を飛び回っていた霧だが、水の膜は部屋中にいきわたり水分を吸収されたため霧は消滅した。
先ほど本隊に連絡した
扉の先にはその場にだたしなく座り込むRの姿があった。
「早かったね~。まぁ当たり前と言えば当たり前か」
「そんな所に座ってないで行きますよ」
「敵の一掃に結界を張って。もう僕くたくたなんですけど?」
「私の目には元気の様に見えます。立たないのであれば引きずる形で運ばせていただきましょうか」
はいはいとだらしなく返事をしながらRが立つと同時に帝都中に破壊音が響き渡る。
「本隊が入って来たね」
「私達の役割は終わりました。合流しましょう」
屋敷内に魔力の反応がないのを確認してから2人は窓を壊して外に出て行った。
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