第327話
親子で組んだミカとフラージュは物音を立てること無く、監視部屋まで最短の道で向かっていた。
道中に敵がいることは無く、監視部屋にも無事に着くことが出来た。部屋の前に2人、中に2人いることを確認すると行動を開始する。
ミカは高速移動を使い片方の監視役の後ろに周り首の後ろ掴むと雷を流す。抵抗すること無く気絶させたため、監視役はその場で崩れ落ちる。それに隣にいる監視役が気づかない訳が無く、声を出し武器をつきつけようとしたがフラージュがそうさせなかった。ミカが高速移動を使うと同時にフラージュは透明化して残りの監視役に近づいていた。ミカに気づき隙が出来た瞬間に持っている槍の石突を当てるようにして目いっぱい力を入れて突きを繰り出す。全力で出されたそれを鳩尾にくらった監視役は隣の者と同じ様に気絶して崩れる。
気絶した2人を音が立たないように寝かせると、ミカ達はまた魔力感知を使って中の2人の位置を確認する。
確認をすると、強引に扉を開けて勢いよく入る。
こんなことが起きると思っていなかった上に、扉は開けられたのに誰もいないことで2人の思考は止まり固まる。それが命取りだった。
ミカ達は先ほどと同じ手順で気絶させる。何が起こったかもわからず中の2人は地面に横たわる。
完全に気絶していることが確認でき、フラージュが
「お母さん!!」
壁に貼ってある紙を覗き見てミカは焦ったように指を指してフラージュのことを呼ぶ。その紙には監視役の交代時間が書かれており、交代まで時間がもうほとんど無かった。
2人は急いで部屋の外に寝ているのを部屋の中に運び扉を閉める。扉が開いた瞬間に奇襲を仕掛け倒す作戦に出たのだ。
息を殺して待っていると足音が聞こえてくる。魔力感知を使えば、近づいてくる反応は5つ。1人が先頭を歩き、4人はその後ろについている形だった。
ミカ達は焦ること無く機を待つ。
「あれ?あいつらいませんね」
監視役が部屋の前に立っていないことに違和感を感じている声が聞こえてくるが、その足が止まることは無かった。
「どうせサボりだ。たまにいるんすよ。ホント困っちまいますよ」
後ろにいた4人の内、2人が前に立ち部屋の扉に手をかける。そしてゆっくりと扉が開かれる。
ミカ達は遠慮することなく槍で突きを繰り出す。槍が吸い込まれるように腹を捉えると敵は2人とも後ろに飛んでいく。後ろにいた3人にも影響があるかと思ったが、当たる寸前に見えない壁に遮られる。
飛ばした2人が突然止まったことに臆すること無くミカ達は追撃したが、その刃が届くことは無く、見えない何かに阻まれる。
「し、侵入者だと!?」
「おい中にいるの……」
前にいる2人のことを無視してミカ達は攻撃を仕掛けるが、槍も魔法も全く届かない。狙っている2人が何かしている様にも見えなかったため、ミカ達は後ろに控えている女性を狙う。
魔法を向けられても女性は驚くどころか眉1つ動かす事なく、ずっとミカとフラージュのことを見続ける。
そして女性に当たる寸前に魔法は消滅する。続いてミカが槍で物理的に攻撃を仕掛けるが、これは前の者達と同じ様に見えない何かに防がれる。
「隊長に攻撃を入れるのは無理なんだよ!」
ここで落ち着きを取り戻した前の2人が同時にミカの背中目掛けて攻撃を仕掛ける。それをミカは軽々受け止めると、1人には足払いを仕掛け、もう1人は全力で槍を押し付ける。魔人も負けじとミカのことを押す。人間と魔人の違いがあるためにミカの方が押されるが、ミカの狙いはそこでは無かった。
男は全力でミカを押しつぶそうと力をかける。隊長である女性がいれば自分に攻撃されることは無い。そう思い込んでいた。
足払いをかけられ倒れている男を踏みつけながら放ったフラージュの攻撃は綺麗に背中を切りつけた。来ると思っていなかった攻撃なだけに衝撃は強く、男は膝から崩れ落ちる。その隙にミカが雷を当て気絶させる。
フラージュにかなり強く踏まれているため苦しそうな顔をしている男にも雷を飛ばしたが、その雷は防がれてしまった。
「ミカ、彼女は視認した物は防げるみたい」
先程の立ち位置、彼女から見てミカ、部下の男達、その後ろにフラージュと言う形だったため、フラージュの後ろからの攻撃を女性が見ることは不可能だった。その時であれば攻撃出来たことからフラージュは1つの結論を出した。
そしてその説を証明するかの様に彼女はミカ達のことを視線から外そうとはしなかった。
小声でフラージュの教えてもらったことを試すかの様に高速移動を使い女性の後ろに周る。突然現れた後ろの反応に女性は慌てること無く対処しようと振り向く。
ミカの振った槍を受け止めると、今度は顔だけフラージュの方に向けフラージュの攻撃を見えない何かで止める。
「そろそろ離したら?」
女性は話す事なく槍を引っ張ってミカのことをフラージュの方向に投げようとする。
それよりも前にミカが槍に雷を流し始める。
女性は初めて表情を変え、驚いた後で悔しそうな表情をしながら膝をつき、ミカがひと際強く雷を流すと気絶した。
「ふぅ~。監視も倒したし、次行くよ」
「分かった!」
2人は四天王の1人を倒したのだと微塵も思わずにRに言われた次の場所に向かって走り出す。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます