第326話
監視役は壁に隣接されている4つの砦にそれぞれ待機していることが分かっていたため、カイ達は2人組にそれぞれ分かれる。カイ達6人で分かれ、アルマとRに2人に行動してもらおうと思ったが、2人が裏切る可能性もあったため、組み合わせを変えた。ラウラとシャリア、ミカとシャリアの2組に対して、Rはリオと組むことを望んだ。そのためカイはアルマと組むことになる。
「待って。ラスターを倒せるのはカイだけ。危険なアルマと組ませる訳にはいかない」
「その心配はないって言いたいところだけど、そう言っても信じられないよね~」
呑気に言うRにラウラは敵意を含めた視線を送る。チャラチャラした雰囲気だったRはその視線を無視して、真剣な顔つきになってから話し始める。
「組み分けはこのままで行かせてもらう。この組み分けが四天王たちに有効なんだよ。特にカイ君達は。だからお願い」
深く頭を下げるRを見て、ラウラは先程まで向けていた視線を外す。
Rが作ったルートを使って全員がそれぞれの砦に向かう。
Rは走りながら杖を操作して目の前に出している画面から逐一状況を確認していた。そんなRの隣を走っているリオは作業をしているからなどの理由を付けずに容赦なく話しかける。
「なぜこの組み分けなのでしょうか?」
「なぜって。四天王とはこの組み合わせが……」
「それだけでは無いですよね」
眉がピクリと動いたR。そんなこと無かったかのように話しだそうとしたが、武器である爪を喉元に向けられたため走るのを止めてリオと目線を合わせる。
「返答次第では貴方とアルマ様を始末させていただきます。本当の目的は何ですか」
「僕はお嬢の願いを叶えてるだけ。お嬢がラスター君の打倒を願ってるからそれを手伝う。他に理由は無いよ」
お互いの視線を交わす2人。一触即発の空気になったが、リオは爪を下ろす。
「今はそれでいいでしょう。ですが、怪しい行動を起こしたら私がすぐに始末しますから」
「分かってるって」
こんなやり取りがあったが、リオとRは監視がいる部屋の前までたどり着くことができた。案の定部屋の前にも監視が控えており、隙は全く無かった。
「僕が向こう側に光を出して、隙を作るからその間に」
全てを言い切る前にリオが頷いたためRも話すのを止めて杖を振る。
杖の先から小さな光の球が生まれ、それは地面すれすれまで落ちると光がとても弱くなる。現在は昼間だったためギリギリ見えなくなるぐらいまで光が弱くなっていた。
それを素早く部屋の監視役の向こうまで送ると、再度Rが杖を振る。その瞬間、光の球は眩い光を放ち始める。それに気づいた監視役は手で目を覆い視覚を守ろうとするが無駄だった。何か最後に喋ることすらできずに、リオが首に巻いた糸によって絶命した。
「ん?なんか音したか?」
「何言ってんだよ。まだ交代まで時間あんだから誰か来る訳ないだろ?つまり音なんかしてない」
「そう?あ、部屋の前で待機してるの。昨日徹夜とか言ってたから眠っちゃってるんじゃないの?」
「あり得んな。なら落書きでもしてやるか」
大きく笑いながら扉まで近づいてくる男女。それが分かっているリオとRは扉の横まで素早く移動する。
扉は先ほど亡くなった者達が塞いでいるため簡単には開かない。そのことに文句を言いながら中にいる男女は強引に扉を開けて行く。
あまりにも力を入れていたため、男の方が勢い余って飛びだしてくる。体勢を崩し前に倒れる。普通ならば前に手をついて「いった~」とでも言って笑いが起こる所だったが、そんなことは起きない。男が手をつく前に頭が落ちる。扉がようやく開けることが出来たと思ったら隣の男の頭が落ちる。そんな状況が目の前で起きたら冷静でいられるはずもなく、女は固まり視線をこれでもかと動かして状況を理解しようとする。よく見れば先ほど頭が落ちた男とは違う血が地面についている。そこでようやく敵が攻めて来たのだと理解できた女は叫ぼうとしたが、それは叶わない。
女の真横にあった扉を光が貫通し、それは女の頭も貫通する。
「中々えげつないですね」
「それは君もでしょ?」
扉の後ろに隠れていた2人は遺体を端に移動させてから中に入る。魔力感知と事前のRの調査で監視役はこれ以上いないと分かっていたが、しっかりと自分達の目で確認していく。
監視役も居らず交代もしばらく来ないと分かったため、リオ達は連絡用の
動かなかったRは自分が展開している画面を見て酷く汗をかいていた。
「どうかしましたか?」
「ミカ君達の所に四天王の1人が向かってます……!!」
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