第325話


 クリミナルが現れてから数日、作戦は決行され、先に潜入する役を与えられたカイ達と案内役に選ばれたRとアルマと共にカイ達は森の中に隠れていた。そして現在、どこからか侵入できないかと模索していたのだ。


「あのツタって言ったらいいのかな?はやっぱり魔力を吸ってるみたいだね。モンスター達はそのせいで死んでる」

「それが町中に張り巡らされてるんですよね。じゃあ住んでた人達は……」


 その言葉通り、魔都トラピタルからは魔力の反応がほとんど無く、中で生きているのは全てラスター陣営の人間だった。

 そのラスター軍なのだが、ラスターが作った安全区画。いわば赤黒い物質が無い場所がトラピタルには4ヵ所存在しており、そこにそれぞれ待機している形になっていた。

 4ヵ所の安全区画、そこをそれぞれRの話した四天王たちが治めていた。


 作戦はの流れはこうだ。

 先にカイ達が潜入し見張りをしている者達を倒す。それの成功を確認でき次第、本隊であるバルター達が進行。四天王たちを倒し、結界を張っている魔法道具マジックアイテムを奪取。破壊を行った後に、城に侵入し全軍を持ってラスターの討伐を行うと言ったシンプルな物になっていた。


「さて、そろそろ動き始めるかの」


 シャリアの言葉を皮切りに、全員が武器を構えて動き出す。いつもの武器を構えているのはミカとフラージュだけであり、それ以外の者達はいつもとは違う武器を構えていた。

 カイは剣と言うのは一緒なのだが手袋から作られる剣では無く、市販で作られた物だった。ラウラとシャリア、リオも同じ剣を持っており、アルマも市販の槍を持っていた。残りのRは今回、案内役と言うこともあり武器を構えること無く、杖で常に画面を出して魔都の様子を覗いていた。


 赤黒い物質が触れてモンスターを倒すところはRが事前に確認していた。死骸が残っていることから、魔力を吸っている命を奪っているのだと予測したのだ。そのため魔力を帯びていない物であればあれを斬れるのではないかと仮説を立てたのだ。それを実証するために、カイ達をいつもと違う武器を構えたのだ。


「ここから真っすぐ行けば監視役はいない。モンスターをある程度倒して壁に絡まっているツタを斬り落としてくれれば、カイ君が壁に氷を階段状に撃ち込んで上から侵入。これで行こう」


 最終確認を終え、カイ達はモンスター達に向けて駆け出す。




 ツタを切るときに魔力を纏ってはいけないだけで、それまでは魔力を纏っても問題ないと言うことで、ミカが高速移動を使って接近しモンスターを一番に倒す。それに続いてカイ達も持っている武器を駆使して倒して行く。餓死寸前で思考が鈍くなっている上に、力の出ないモンスター達は苦労すること無く倒すことが出来た。

 モンスターを倒しながら、壁に接近出来たカイが赤黒い物質を魔力の纏っていない剣で切りつける。すると普通のツタを切るときと同じように赤黒い物質は切り落とされ、地面に落ちると消滅した。

 それを確認できた瞬間にカイとミカ、フラージュがモンスターの撃退を、ラウラとシャリア、アルマとリオが赤黒い物質を消していく。


 高い所はアルマが飛んで切り落としたため、縦に物質を消滅させた場所が出来た。

 そこにすぐにカイが上れる様に氷を階段状に撃ち込んでいく。

 飛ぶことが出来るアルマが最後に上るようにし、モンスターが侵入できない様に氷を砕いて行く。


 問題無く侵入できたカイ達は、Rが事前に確認していた監視役の下に向かい始める。

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