第322話
「見てもらった通りトラピタルは色々変わっちゃったよ。浮いてるあの城も今では1人しか入れない。だから中がどうなってるかもわからないんだよ」
「……ラスター、ですね」
その言葉にサーバとバルターが息を飲む。一度会ったことのあるのある2人だからこそ、恐怖をより一層感じていた。
「そのラスター君に関してはカイ君が戦ってどうにかしてもらうとして、今は根城である城にどうやって侵入するかだよね」
もう一度Rが杖を振ると、画面が再度現れる。先程と違って画像では無く動画が流れ始める。それは1人の魔人が先程の城に飛んで行く様子だった。
勢いよく飛んで行った魔人が城に一定以上近づくと、体が突然痙攣すると、全身火だるまになって地面に落ちて行った。その魔人は空中にいる途中で灰になって消えた。
「他にも何人かが挑んだみたいだけど、同じ結果に終わったね」
「そんな……。ならどうすれば……」
「これだけ強力な結界がリスク無しに張れる訳ないでしょ~。はいっ!」
またRが杖を振ると画面が変わり、そこには4つの四角柱が映り出す。
「あの結界を維持できてるのは、1日の決まった時間にこの4つの柱から魔力が送られるからなんだよ。しかも魔力は結界の外から送らないと意味がないんだよ」
「待て」
サーバは声を発すると同時にRの首元に剣を近づける。いつでも首を飛ばせるように。それに対してRは焦ること無く、ゆっくりと杖を机に置いて反対側にいたカイ達の方向まではじく。
「お前はなぜそこまで知ってる。魔都の様子を知っているのも違和感を感じる。なぜだ?」
「あの結界を張るための
「……そうか」
剣を収めたサーバに対して、Rは大きく息を吐くとまた喋り出す。
「話しを戻すけど、外からこの4つの柱を通して魔力を送ることで維持できるわけなんだけど、ラスターは普段中にいるから結界を張るのは不可能。じゃあ誰が結界を張ってるんだろうね~?」
「ラスターの部下、特に目立ってるって言ってた4人……?」
「そうそう!その4人が1つずつ持ってるんだよ!4人の部下がいるのは知ってたからわざわざ4分割にしてあげたんだー本当はさ……」
「そこまでだ」
バルターの静止の言葉を聞いてRは押し黙る。そしてバルターの方を真っすぐ見つめる。
「その4人はどこにいる?早く言え」
バルターの普段とは違う口調に周りの物は困惑しながらRの言葉を待つ。Rはつまらなそうな表情を浮かべならしっかりと答える。
「3人はトラピタルの中。トラピタルから出ると遠すぎて結界に魔力を送れないから中にいるはず」
「4人いると言っていたな。あと1人は」
「あと1人は瞬間移動が出来るんだよ。だから外にいるかも?ただでさえ自由な性格だしね」
「……そうですか。姫、戻ってきてもらったばかりですし、カイ様達にはもうお休みいただいた方が」
バルターの提案を受け、バルターとメイドがカイ達をそれぞれ部屋に案内し始める。
バルターはカイ達への案内を終え、最後の1人であるRをつれて歩いていた。
人気がなくなった場所でバルターはRの方に向き、腰に帯刀していた剣を抜き真っすぐ振り下ろす。
「剣を使うのは苦手って言ってたのに。しっかり使えるようになってるじゃん」
「減らず口を叩くな」
軽くなった手を振って調子を確認するRに対して、バルターは剣を仕舞い鋭い眼光を向ける。
「お前が来るとはな」
「驚いたでしょ。……そんなことより聞きたいことがあるんじゃない?」
「……なぜあいつの娘がいる。死んだはずじゃ」
「
「そうか……。あいつは知ってるのか?」
「知らない。でも、今はそれでよかったと思うよ」
何を言っているんだと、疑問をむき出しにした視線を送ってくるバルターに対してRは冷たく返答する。
「不思議そうな顔してるね。実はね……」
バスターはRと再会した時とは比にならない程の驚いた表情を浮かべた。
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