第269話
砦に張ってあった結界を出た瞬間にチーター達はカイ達のことを視認し始め、あちらこちらを見ていたと言うのにカイ達の方を一斉に向き始めた。
「一定距離以上は離れない様にしてください!離れた時は声を上げてください!」
リオは手袋についた爪を四方八方に飛ばし、声を上げながら走り続ける。
カイとミカ、ラウラは遠距離の魔法が使えるためリオと同じ様に魔法を飛ばしてチーター達をけん制、もしくは殲滅していく。だが、遠距離の攻撃方法を持たないシャリアとフラージュは手を出すことが出来ないため、もしも近づいてきたとき様にリオの真後ろについていた。
しばらく走っても、周りの景色は変わらず、チーターは何匹も跳びかかってくる。ほんらくモンスターと倒したら死体を回収するのだが、見晴らしの悪い環境にいること、またチーターの数が途方も無いことが合わさって回収するのは最初から止め、攻撃してこなかったチーター達に処理してもらおうと考えていた。その考えは上手く行き、腹をすかしていたチーター達は最初はカイ達に興味を惹かれていた個体たちもすぐに同胞の死体に跳びかかりに行った。そのおかげもあり最初ほど戦闘することは無く、等距離で数体のチーターを倒すだけで比較的簡単に進むことが出来た。
しばらく進むと荒野は一片し、木々や草が溢れる森に着く。
先程までは緑がほとんど無く廃れた土地だけを見ていたことで、木々を見つけたことに喜びを感じる物だが、この森ではそれを感じることが出来なかった。
先程までの荒野と違い草は生えているが、色は灰色。木々も幹が薄い灰色で、葉は黒で不気味な色をしていた。
「地図によればこの森を抜ければスワイドです。あと少しです」
先程と同じ様にリオを先頭にしながら森を進んでいく。
魔国特有の瘴気に加え、木々の葉が日の光を吸収しているのかカイ達の周りは暗闇の中にいるのと変わらい状態になっていた。そのためフラージュが魔法を使い照らして森の中を進んでいた。幸いにも先程まで戦闘をしていなかったこともあり、見立てでは森を抜けるまでには十分に魔力が持ちそうだった。
「にしても魔国にも日の光はしっかり送られてくるんですね」
「瘴気によって環境が違う用に見えてますが、違いは魔人か人か、それだけですから」
そんな話しをしていると、木々が揺れ始める。だが、カイ達は全く風を感じなかった。
それもそのはずで木々は風で動いたのではなく、自分の意思で動いたのだ。
「……ここら一帯の森はトレントの巣みたいだね」
「皆が魔力感知を使って追ったが、この瞬間まで魔力は感じんかった。こんな魔物もいると言うことじゃの。楽しみじゃの!!」
拳同時をぶつけながらしゃべるシャリア顔には笑みが浮かんでいた。
「私も感じることは出来ませんでした。まるで今生まれた様に感じます」
「確かに。調べたら面白そう」
「そんなこと言ってる場合じゃないんじゃないですか!?」
ミカ達が軽く話している中でもトレント達の攻撃が来ていた。地面から無理やり根を取り出し突き刺そうと動かす。
ミカは根を跳んで避けると、切断するつもりで切りつけたが出来ず、深く傷をつけるだけだった。他の皆も同じでダメージを与えることは出来ていたが、普通のトレントと違い一撃で倒す事は出来ずにいた。それでもかなりのダメージを与えることは出来ていたため、二撃、三撃と攻撃すること確実に数を減らしていった。
それぞれが対処する中でカイだけはその場を動かず、全ての根を青い炎で氷つかせていた。
「リオさん、スワイドの方向は進んでた方向であってるんですか?」
「はい、間違いありません」
カイは両手に纏っている炎をより大きくすると、進行方向に向かって炎の手を伸ばし始めた。
「俺が道を作ります!今は急ぎましょう!」
青い炎の手に触れたトレントは炎が素早く全体に伝わり、葉まで伝わると炎が1人でに消える。炎が消えるとそこには綺麗なトレント型の氷の彫刻が出来ていた。
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