第268話
目の前に広がる荒野には、体毛が真っ黒なチーターが数匹歩き回っていた。場所が荒野で食料が無いのか、そこにいる全部がそろいもそろって涎を垂らし腹をすかしており、餌が出て来たらすぐさま跳びかかる様子を想像することが出来た。
隠し通路から出て来たカイ達はその様子をみていたが、前にいるチーター達は襲ってくるはおろかカイ達のことを視認できていないようだった。
「砦は破壊されてたけど、結界は生きてるみたい。出たら一斉に襲ってくる。範囲はここまで」
いつでも戦闘出来るようにと持っている杖で地面に線を書いたラウラはどうするのか?と言いたげに、全員のことを見る。
「どうするって顔でこっちを見る出ない。出来ることは1つ。突っ切るしかないじゃろ」
「それは分かってる。どっちに行くかってこと」
「この瘴気のせいで魔力感知も碌に使えませんからね。どうするか……」
今にもラウラとシャリアが口喧嘩を始めそうだったが、そこにリオはがいることで喧嘩をさせないようにする。
そして、先程のシャリアの言葉だが、現在 魔力感知は近距離から中距離でしか使い物にならないでいた。その原因である瘴気なのだが、魔力を微量に含んでいた。そのため魔力感知を使って遠くの方を調べることが出来ず、姫たちがいる場所を調べることが出来ないでいた。
「魔国内の大まかな地図は貰っていますが」
リオは袋から取り出した地図を広げたため、全員がそれを覗き込む。
現在いる砦から近い町は3つ。それぞれ「ワーネス」「トゥーレス」「スワイド」と言う名前がついており、事前の知識によるとどれもがラスターの派閥に統治されている町だった。
「こーゆうとき手がかりになるのは……」
「さっきの紙。燃やされて使い物にならない。万事休す」
何か手がかりを探すために3つの内の1つの町に行こうかと考えていると、屋敷にいた時同様に袋から板が出てきて発光し始める。
「オムニ、聞こえる?」
「姫様!」
映像は前と同じで見えなかったが、発信元と近くにいるためか声はしっかりと聞こえて来たためリオが咳払いをすると返答し始める。
「リオですね。ラスター達からの襲撃を受けた際に
「主は公国で結界の維持をしています。そのため私が代わりに魔国に」
「来ているのですか!?」
あまりにも大きい声だったため、全員が驚き方を振るわずがすぐに返事を返す。
「……カイは来てないですよね?」
「?ラスターを倒すにはカイ様のお力が必要です。なので来ていただきましたが……」
「今すぐ戻った方が良い。これ以上ラスターに近づいてはいけません!」
『来るな』という言葉が出てくるとは思ってなかったカイ達は少しだけ困ったような顔をするが、リオだけは驚いた顔でいた。
「姫様も以前はカイ様に協力してもらわなければと言っていたでは無いですか?それがどうして……」
「前とは状況が違うのです……。襲撃された際、ラスターは以前よりも力を付けていました。今のラスターには誰も勝てないでしょう」
「姫様、どこにいますか?」
「スワイドにいます。ですが、来る前にカイを公国に戻すべきです」
「……一度落ち着いて話すべきです。今から向かいます」
「リオ!」
無理やり通信を切ったリオはいたを袋に戻す。
「姫様の下に向かいましょう」
「良いんですか?」
「強くなったから結界に攻撃を仕掛けた。予想済みでした。それに、強くなったのならば尚更カイ様のお力が必要だと私は考えています。ともかく今は急いでスワイドに向かいましょう」
手袋につけている爪を軽く触って確認をすると、リオはスワイドの方向に走り始めた。それに続いてカイ達も走り始めた。
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