3章 予期せぬ異変
第263話
偽クリミナルが統率する敵対組織を壊滅させた翌日。カイ達は心に悩みの種を持ちながら、オムニ達とくつろいでいた。
敵対組織本部だが、場所が魔国のどこかの地下と言うことがあり、あの場で出来る限りの調査が終わると、帝国側の魔法陣を跡形もなく破壊して転移を出来ないようにさせた。破壊したのはオムニに本人で、全員が転移し終えたことを確認したオムニが突然破壊したため、兵士達はとても驚いた。
兵士達はどうして破壊したのか、もっと調査すべきだと詰め寄ったが、敵の親玉と戦った時に魔人が現れたことを言うと多くの兵士が黙った。
「っしかし……!!」
「止めろって。魔人が出て来てんなら俺らには手に負えないんだから」
それでも若い兵士達は何か言おうとしていたが、他の兵士達が何か言うのを止めていた。
カイ達が呼ばれて部屋に来てみれば、オムニが優雅に紅茶を飲んでくつろいでいた。
「おっはよー。昨日はありがとね」
いつもの様に軽く挨拶するオムニを見てリオがため息をつきながらカイ達に座るように促す。
「さて、昨日のことについて現時点で分かったことを話そうか」
オムニは机に事前に置いていた資料にの束を持つと、かいつまんでカイ達に事後処理のことなどを話していく。
「そう言えば、公国は魔人と戦ったことがあるのかの?」
オムニの話しが終わり全員が一息ついていると、昨日の兵士達の動きが気になったシャリアが唐突に聞き出す。
「公国は魔国と隣接されてるでしょ?人間を敵だと判断してる魔人から人類を守る役目もあるんだよ。普通結界を超えられないはずの魔人だけど、数十年前からなぜか通り抜けられるようになったからね……」
苦しそうに言うオムニは紅茶を口に含むとすぐに元の顔に戻る。
「ま、一気にたくさんの魔人が来るわけじゃないのは幸いだけど」
「当時の兵士は死に者ぐらいで魔人を止めてくれたからね。当時はまだ
心の底から寂しそうに言うオムニを見て誰も何も言わなかった。
「っと、今はこんなことを話してる場合じゃなかった。リオ出して出して!」
「分かりました」
そう言ってリオが取り出したのは、昨日ミカが回収した杖を取り出す。
「さっきまで解析しててやっと終わったんだけど、この杖、結構えぐい物だったよ」
「この杖を人の存在を喰らう
「壊れた?」
「そう。この
そう言ってオムニが杖をかっさらって発動させると、見た目が女性に変わる。その女性は昨日戦った親分のすぐそばにいた女性だったためカイ達は驚く。
「水晶でその人の存在を飲み込んで、杖に記録。いつでも出せるようになるみたいだね」
女性の声で話しきると、オムニの姿がオムニの物に戻る。
「まぁ水晶はもう壊れちゃったから、今までに記録された人しかもう変身出来ないけどね」
つまらなそうに言うと、杖をリオに返す。
「この杖の怖い所は、記憶すらも奪うことだね。それはもうその人になるってことだもんねー」
「だから『存在を喰らう』……」
「でも、それならなんでクリミナルは生きてるんですか?昨日の人達は全員水の中に飲み込まれてましたけど?」
「それは本人に聞けが良いよ。この杖、奪われた本人が使えば元に戻るみたいだから。ってことでさっそくクリミナルの所に」
そう言うと、リオの持っている袋から勢いよく四角い何かが飛び出してくる。
机に落ちたそれは、すぐに空中にスクリーンを生み出す。
「……ムニ。聞こ……!……オ……ニ!」
ノイズが大量に入り聞こえづらいが、集中すれば聞き取れそうだった。
「攻……られ……。な……してる……ない」
「姫様!何があったのですか!」
「……を捨て……けど、……カ……連れ……で……てる。……だよ!」
そこまで言うと通信は切れ、スクリーンが消える。
「これで通信できるのは姫だけなんだけど……。これは……ヤバイな……」
今までにないくらい焦った顔を浮かべ、焦ったオムニの声がただただ響く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます