第226話


 魔人達が着て数分して、ミカとフラージュが数名の騎士をつれて研究所にやってくる。騎士達は最初中の状況に驚きを示したが、直ぐに確認と監視を始める。そのため交代する形でカイ達は騎士達の隠れ家に移動し始める。


 そして現在、カイは血を洗い流し、隠れ家のリビングにいた。そこでは会議が開かれていた。その内容は研究所の中にいた人をどうするかと、反国家団体に誰が接触するかだった。ナキャブから協力するように言われているとは言え、反国家団体が帝国が協力してくれると言うことを知らず、今から会って話す必要があった。もちろんそこには今回指揮を取っているフラージュも行くのだが、フラージュの発言で騎士達は困惑していた。


「反国家団体の所にはカイも連れて行くよ」


 フラージュがカイとミカも連れて行くと言い出したのだ。大人同士の話し合いの場に連れて行って良い物かと騎士達は悩み始めたのだ。


「隊長、なぜこの子をつれて行く必要があるのですか?彼がとても強いのは分かっています。自分達が束になっても勝てないと思います。ですので、ここで待機してもらって、もしもの時にその得た方が…」

「この子が王国に居たのは知ってるよね」


 会議に参加していた騎士達全員が頷く。今回の作戦を実行するにあたって、カイ達が王国に居たことは連絡されており、どうして帝国に来たのかも全員が知っていた。


「この子の罪を無くしても貰わないと。帝国にいて危害は無いとしても、今後もしかしたら邪魔になることがあるかもしれないから。革命が終わったら反国家団体が国のトップになるんだしね。それに、もしも武力行使してきたときに対抗できないと」


 今回、行く人員はフラージュとラウラ、カイと騎士3人だった。そのため、万が一の時のために対抗できる戦力が欲しいとフラージュは考えていた。

 結果、フラージュの意見が通り、カイも同行することになった。その間、ミカは留守番となり、置いて行かれたことに不貞腐れながらも、しっかりと兵士が攻めてこないか見張りをしていた。




 反国家団体の本部に行くことになった物達だが、カイも含めて一般人に扮して街中を歩いていた。騎士達3人とフラージュ、ラウラでカイを囲うようにして歩き、カイの顔がしっかりと見えないようにしていた。もしもの時は戦闘になるため、全員がいつでも戦闘できるようにしていたが、兵士達は昨日の侵入者騒ぎで街中を巡回する暇がなかったのか、カイのことがバレることは無かった。

 そして、フラージュ一行は反国家団体が本部にしているある建物の裏に来ていた。そこは表から見たら普通の料理屋だった。カイ達は場所を確認すると裏に周り、現在木製の扉のドアノブに手をかけていた。ここまで来たら兵士に発見される危険が無いため、カイは昨日しっかり洗い白くなった仮面をつける。騎士の1人がドアノブを回し中に入る。すると、中には少しのスペースと鉄製の扉が置いてあり、扉の上部には、このスペースを覗ける穴があった。


「ん?あんたら業者じゃないな。裏から入るんじゃなくて、表から入んな。飯出さねぇぞ」


 扉の奥から野太い声が聞こえ、扉の穴を見ると目が合う。

 フラージュは入って来た扉が閉まっていることを確認すると、扉の奥にいるであろう男に声をかける。


「私達はご飯を食べに来たんじゃなくて、君たちのボスに会いに来たんだよ」

「…何言ってんだ?ボスってことは店長か?なら店長は今店開けてるぞ。また今度来な」

「回りくどいのはなしで行こうよ。私達は反国家団体のボスに会いに来たの」


 フラージュがそう言うと、扉の奥から声が聞こえなくなる。しばらくの静寂が訪れると、耳を澄まさないと聞こえないくらい小さな足音が聞こえる。だが、フラージュ達は警戒した様子を見せない。

 そして扉が開かれると、奥から杖や武器を構えた人達が部屋に入って来て、フラージュ達のことを囲む。その人達は老若男女だったが、全員が等しきフラージュ達に敵意を持っていた。カイ達は敵意は無いと言うことを示すため両手をわざわざ上げる。


「あんた達何もんだ?」

「私達は帝国の使者だよ。君たちに協力しに来た。ボスに合わせてほしい」


 話しかけてきたのは、扉の奥からかけられた声と一緒でその男がひとしきり考え始めると、武器を下す。


「お前ら武器下ろせ。案内する」


 その男が隊長格なのか、全員が一斉に武器を下ろし、奥に戻って行く。フラージュ達はその男の後ろについて中に入ると、地下への階段があった。




 地下はとても広く、地上に会った料理屋以上の広さがあり、たくさんに人が荷物を運び出していた。薄々中に何が入っているか、勘づきながらも案内をする男に何が入っているか聞いてみる。


「分かってんだろ。あれは武器だよ。そろそろ国と本格的にぶつかるからな。備蓄してたぶんを出すんだよ」


 また、横を通る部屋を覗いてみると、中で講習をしているところと、訓練をしているところがあった。訓練をしているのは戦うからと分かるが、講習は何をして言うのか疑問に思っていると、聞く前に男が説明し始めた。


「あれは衛生兵どもだ。どのような感じで動けば良いのか教えてんだな。ここにいる奴らのほとんどは元は非戦闘員だ。だから教えねぇといけねぇんだよ。まぁ戦わないのが一番だったんだがな。さて、そろそろ着くぞ」


 カイが周りを見るのを止めて前を見ると、ひと際大きく作られた扉があり、中から小さくだが、話している声が聞こえる。

 案内していた男が扉をノックすると、話し声が無くなり、中に入っていく。フラージュ達も男の後に続いて部屋の中に入る。


 部屋の中は立派な会議室になっており、真っ先に目に入って来たのは、ひと際大きい椅子に男が座っている姿と、前に資料を持ちながら立っている男だった。そして長机と、椅子が数個置いてあり、ほとんどの椅子に座っている人がいた。カイは仮面で目線が見えないことをいいことに中に入ってすぐに中にいる人達を全員確認する。すると、そこにはいないだろうと思っていた見知った人がいたため驚いた。会議室にはメッサーがいたのだ。反対にメッサーはカイのことが分からず、何の用で来たのかと少し疑問を持った目でカイ達のことを見る。

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