第216話
魔人騒動があってから1ヵ月が経った。カイとミカは相変わらず同じ屋敷で済んでおり、普段通りの生活にようやく戻ることが出来るようになっていた。ルナも今まで通りに戻っており、トランを含めた4人でよく話していた。
そんな中、シャリアから呼び出しを受けたためカイとミカ、ルナの3人とアルドレッド、セレスの5人が呼び出されていた。5人とも呼び出された原因に思い当たる物が無かったため色々考えていた。
「やっぱり魔人関係かな?」
「たった1ヵ月しか経ってないしそうだよね。何か動きを掴めたとか」
「他に潜伏してる魔人がいたとかじゃないかな?」
話していると学園長室に着いたため入る。そしてカイとミカはかなり驚いた。
「お久しぶりですね、カイ君、ミカさん」
「ラクダレスさん!?その足は…」
学園長室には私服に白衣を着ていて、片足がなくなったラクダレスが横に杖を置いた状態でソファーに座っていた。
そして、室内にはシャリアとフラージュ、サリー。他にも女騎士が1人いたが、カイ達が知らない人だった。
「ちょっとやられてしまいまして。王国に居られなくなったのでこちらに逃げてきました」
「思い出話は後でせい。かなりの情報を得てくれたみたいなんじゃがの、お主らがいないと話さないと言ったから呼んだんじゃ。座り。ルナ様は私の隣じゃ」
シャリアに言われ座ると、全員の視線がラクダレスに集中する。そしてラクダレスは普段、世間話をするときと変わらない口調で話し始めた。
「カイ君に報告を受けていたウォッシュと言う者と交戦しました。この足はその結果です」
その言葉にカイ達の顔がより真剣な物になる。
「そのウォッシュの顔を確認することが出来ました。彼の額からは角が1本生えていました」
ラクダレスはこのことを言うと全員驚くと思ったが、誰も驚くことが無かったため逆にラクダレスが驚いた顔になる。
「驚かないのですね」
「実は前に取ったウォッシュの腕を解析してもらったんです。その腕に魔人の成分があったんです」
「それは驚きました。そう言うことなら納得ですね。他にも色々分かったことがありましたが、説明は彼女からしてもらいましょう」
ラクダレスが彼女と言ったため、今度は女騎士に視線が集まる。女騎士は国の管理する研究所にウォッシュがいたこと、常人よりもかなり多くの魔力を保有した存在がたくさんいたことを報告し始める。
「その数はどのくらいだったんじゃ」
「数えられる量じゃなかったです。少なくても50は…」
「分かった。お主もナキャブに報告する必要があるじゃろ。来て貰って感謝する」
「失礼します」
女騎士が出て行ったため、カイ達は先程よりも力を抜いた状態で話し始める。
「そう言えばラウラはどうしたんですか?」
「今授業をしておる。ラウラ以外がやるわけにいかない授業じゃったからな。後で私から話しとく」
「それより、帝国と王国。2つの国にいたってことは…」
「聖国にもいるでしょうね。もう信用できる者に報告を任せていますよ。大丈夫だとは思います。聖国にも手練れはいますから」
「近々言ったほうがいいかもしれんの。まぁこれは今は置いておいた方が良いじゃろ。国が代々的に誘拐して改造しておるんじゃ。何かして来るじゃろ」
「戦争…ですか」
ルナのひと言に全員が黙り込む。起きてほしくなかったことが一番起きる可能性が高くなったのだから仕方なかった。
「今回は小競り合いじゃ済みそうにないの。サリーしばらく学園を開ける。お主を学園長代理にする。任せたぞ」
「承りました」
「これは学園からも数人出すしかないかもしれぬの…」
自分で発言したと言うのに、シャリアは落ち込んでため息を漏らす。
「とにかく緊急で会議を開く必要があるの。ルナ様も一緒に来てくだされ。ともかく全員訓練しておくんじゃ。出さんように粘って見るが…呼ばれてしまうかもしれんからの…」
最後にものすごく落ち込みながらシャリアはルナ達と一緒に学園長室から出て行った。
「お2人とも」
カイ達も学園長室から出て行こうとしたタイミングでサリー2人に話しかける。
「学園長が先程おっしゃられた通り、お2人はほぼ確実に出ることになると思います。その上、今回は魔人が関わっています」
サリーはそう言うと、部屋の端に置いてある宝玉に触る。すると、学園長室が結界で覆われる。
「お2人と言うよりは、シャリア様とラウラ様以外が魔人について分かっておりません。なので」
サリーが指につけているシンプルなデザインの指輪を外すと、体内から魔力があふれ出す。その量はカイを超えており、2人とも癖で戦闘体勢に入る。
「お2人には魔人と言う物を知ってもらおうと思います。今度の休日にここに来てください」
そう言ってサリーは指輪を元に戻すとカイ達に住所が書かれた紙を渡した。突然魔力が増えたことに疑問を覚えながらカイ達は学園長室から出た。
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