第204話


 学園祭2日目になり、始まるまで後数分と言うところだった。初日は学園内部の人だけで行ったため、実質今日からが学園祭本番だった。

 カイ達のクラスメイト達はそのことでカイとミカが緊張してるのだと思った。なざクラスメイト達は2人が緊張していると思ったかの、それは2人の顔がこわばっていたからだった。視線も少しばかり鋭くなっており、クラスメイト達は2人に話しかけづらそうにしていた。

 そんな中でも2人に話しかける存在がいた。


「2人ともおはよう。大丈夫?」

「あ、ルナ。おはよう。もう大丈夫!昨日は何もできなかったけど、もう遅れは取らないから」


 昨日カイ達は不審者に会ったことは外部に漏れていないが、皇族となれば大体のことを知ることが出来るためルナは昨日起きたことを知ってた。

 そして心配してくれるルナに対して、ミカは大丈夫だと言うことを証明する様にして軽くジャブを行う。その様子にルナが笑ったため2人の警戒はほんの少しだけ緩む。そのため見ていた者達も安心して息を吐く。


「あれ、アディは一緒じゃないの?」

「私も来たばかりで分からないんだよね。ちょっと知らないか聞いてくる」


 カイの質問にルナも気になっていたため他の生徒に聞きに行く。すると、教室にトランが入って来てすぐにカイ達の元に来る。


「おはようございます。…2人とも何かありましたか?」


 先程のルナのおかげで普段に近い状態に戻っていたカイ達だが、トランにとっては少し違う所があったようで、何があったのかストレートに聞いてきた。


「ちょっとあって、ね。まぁ大丈夫。すぐに解決できると思うから」

「そうですか。僕じゃ何も助力にはなれないと思いますが、何かあったら是非言ってください」

「ありがと」


 ミカのお礼を聞きトランが再度話そうとした所で、アディのことを聞きに行っていたルナが戻って来た。


「ルナ様、おはようございます」

「おはようございます」

「アディはどうしたって?」

「皆わかんないって。まだ来てないだけだと思うから待ってれば来るよ」


 そこから4人で話していると、学園祭が始まるまで残り1分となった。皆がやる気を出すために声をかけあってると遅れてアディが入ってきた。


「アディ、おはよ」

「ル、ルナ様、お、おはようございます」

「おはよう。珍しく遅かったね」

「おはよう」


 アディが遅れて来たが、皆が出し物の準備をしていたために誰も気にしなかった。




 学園祭はいつもルナは別に良く予定があるため、カイ達とは別れた。アディとトランもやることがあると言ったため、カイとミカは2人で学園祭をまわることになった。

 だが、昨日にほとんどの所をまわったため、特に行きたいと言うこと所が無かったため演習場に向かっていた。

 その演習場に行く前にカイ達は学園長室に来ていた。昨日、2人で出来るだけ行動をしないように言われていたため、ラウラと行動しようと昨日の内になり、待ち合わせ場所を確実に会える学園長室にしていたのだ。


 学園長室に来ると、扉の前にラウラが待っていた。


「あれ?中で待ってないの?」

「すぐ来ると思ったから」

「2人とも、試合始まっちゃうよ。もう行こう」


 ミカが2人の手を引いて演習場まで向かう。



 観客席は少し改造されており、観客席の1ヵ所が部屋に改造されており、そこには椅子が数個あり、試合が見えるようにガラス張りになっていた。そこを見るとルナとシャリアの姿があった。この学園を作るのに皇族も援助しているため、毎年エキシビションマッチを見に来ていたのだ。


 カイ達が観客席を見渡すと、普段見るはずのない一般人がたくさんおり、中には冒険者のような風貌の者もいた。


「あれはスカウトするため。エキシビションマッチには冒険者になりたい生徒が多く出るから」


 疑問が顔に出ていたようで、観客席に座った後でラウラが2人に説明する。それを聞いて納得した2人は、試合が始まろうとしていたため演習場を見る。


「皆さまお待たせしましたー!!」


 スーツを来た男が棒状の物を持って演習場の中に入ると観客達は歓声を上げる。その棒状の物はマイクの役割をしている魔法道具マジックアイテムだったため、観客席内に男の声が響き渡る。男の声が聞こえ多くの観客が席を立って歓声を上げる。


 入って来た男は審判をすることを言うと、すぐに後ろに下がる。

 審判はこの後のすぐに試合をする生徒の紹介をし始める。学年が2年だと言うことでカイとミカは興味を示す。審判に紹介され入り口から生徒が順番に2人入ってくる。その生徒にカイとミカは見覚えがあった。


「あの2人って交流戦の…」

「一瞬しか見れなかったから今回見れると良いよね」


 王国と帝国の交流戦に出ていた生徒の内の2人だったのだ。その2人は王国の生徒を瞬殺していたため、カイ達は戦っている姿をほとんど見れなかった。そのため戦っている姿を見れることを楽しみにしていた。


「この2人!2学年の中で実力はトップクラス!!しかも事前のインタビューではぁ、親友同士と言うこともあり、お互いの強みと弱点を知り尽くしているとの情報も!!さぁ、どんな試合になるんだぁぁああ!!」


 観客達がより一層歓声を上げ、観客達の視線が全て演習場にいる生徒2人に集中される。


「それではエキシビションマッチ、第1試合…」


 ここまで審判が言うと、カイとミカ、そしてラウラとシャリアの視線が上に集中する。


「2人とも」


 ラウラのひと言で、カイ達は走って観客席から出て演習場に向かう。


「サリー!急いで皆を避難の指示を出すのじゃ!お主はザールド達の護衛をせい!」


 シャリアも急いで部屋から出て、演習場に向かう。


「始め!」


 審判がそう言い切ると、演習場に何かが落ちてくる。落ちて来た拍子に轟音が響き、演習場は砂煙に包まれる。観客達は何が起きてるのか困惑していると避難指示が出たため、全員が混乱しながら避難しだす。

 すると次の瞬間突風が吹き、砂煙が晴れる。そのため避難している途中だった観客達は演習場を見る。

 そこには赤いローブと黒いローブをした者がいた。その2人は昨日カイ達が会った魔人達だった。

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