第193話
騎士達に明日エビドの本部に突入することを言うと、シャリアは部屋を出てまた違う所に向かい始める。
「どこ行くの?」
「捕まえたアサシンとかいう奴の所じゃ。少しでも情報を聞き出した方が良いじゃろ」
「ん。そう言えばフラージュは?」
「来ておるぞ。もうカイ達の所に向かっとる」
「こっちじゃなくて?」
「ルナ様の護衛も増やしといたほうがいいじゃろ?」
その後も軽く話していると、未だに気絶しているアサシンが入った牢屋に着いたため、2人は入ってアサシンを起こす。
街中が混乱している中で、フラージュはいつもの白いローブを着てカイ達が泊っていると聞いた宿に向かっていた。
その宿に向かう中で、冒険者ギルドが目に入る。冒険者ギルドには人が押しかけており、何か騒いでいる。気になったフラージュは中に入り、受付に怒鳴っている男の話しを聞く。
「おい!まだゴールデンスライムを売った奴はいないのか?」
「はい。ギルドには報告されておりません」
「ホントか?!まさか隠してるんじゃねぇよな!おい!」
「先日から言ってますが、大量の金塊どころか、金塊を売った者もおりません」
数日間も通い続けてゴールデンスライムの行方を追っていることがすぐに分かったが、実際にゴールデンスライムが発見されたのか怪しいと思っていると、男は我慢できなくなったのか腰につけていたナイフを取り出す。
「吐け!売った奴は誰だ!」
「お、おいさすがにまじぃって…」
「落ち着けって」
男の仲間がなだめようと後ろから話しかけると、男は振り返り様に2人を切りつける。そのため冒険者ギルド内に悲鳴が響き渡る。
「うるせぇよ!俺はゴールデンスライムを見つけねぇといけねぇんだよぉ!」
冒険者なだけあり、素早い動きで受付の中に入ると、受付をしていた男性の後ろに周り首にナイフを当てる。
「出て来いよ!ゴールデンスライムを倒した奴!じゃないとこいつが死ぬぞ!」
男がそう叫ぶが誰も出てこようとしない。フラージュは白いローブのフードを被り、仮面をつけて透明化する。
「俺を見て笑ってたろ!必死に探してるってな!あぁ!?出て来いよ!」
今すぐにでも受け付けの首にナイフを刺そうとしたところで、フラージュが男の顔を殴る。突然怯んだため、見ていた人達は何が起きているか分かっていない。
怯んだ隙にフラージュは受付とナイフを回収して、男から離す。
ナイフが浮いている状態に、訳が分からなくなりギルドの中にいた人が全員固まる。
「な、なんだよ!誰だ!」
「こんなものギルドの中で取り出す物じゃないでしょ。それに仲間まで傷つけて。何してるの」
ファイティングポーズをしながら叫ぶ男の前にフラージュは姿を現す。
男は突然現れたフラージュの驚き一歩後ろに下がり、他の見ていた者達は驚愕の声を上げる。
「こんなことしたんだから詰所まで来てもらいからね」
「な、なんなんだよテメェ!」
怒りに身を任せ男はラウラに殴りかかるが、ラウラはいとも簡単にその拳を受け止める。そしてすぐに足払いをして、地面に倒して拘束する。
先程からついて行けない状態のため全員が動けないでいたが、ラウラが拘束したためギルド職員たちが動き始める。
フラージュが面倒な事になったと思っていると、ギルドに今度は怒声が響き渡る。
「見つけたぞ!白い奴!俺達をボコボコにしたあいつら連れて来いや!」
そう言って大衆をかき分けて出て来たのは、以前アベルトを去るときに倒した冒険者4人組だった。さすがにあの時の傷は癒えており、額には血管が浮かんでいた。
「はぁ。もう何?あれはあなた達が悪いでしょ。こっちはこの男を連行しないといけないんだけど」
フラージュがそう言うと、男達は未だに暴れようとするフラージュの下に組み敷かれている男を見る。そして見ると怒りの他に殺気をフラージュにぶつける。
「おい、兄弟に何してんだよ」
「兄弟?暴れたから抑えただけだけど」
「ミーゴとズクはどこだ?」
「誰?後ろに倒れてる人達?」
先程と同じ様に言われて後ろでギルド職員が止血をしている2人を見ると、武器を取り出す。フラージュもこのままじゃ対抗は出来ないため、組み伏せてる男の顔を地面に強くぶつけると気絶したため立ち上がる。
「ふ、ふっざけやがって!殺してやる!」
一番前の男が叫ぶと4人一斉に跳びかかってきたため、フラージュも槍を取り出して応戦する体勢に入る。
まず、2人が斧と剣を振り下ろしてきたため、力が入りきる前にそれらを槍で押し返す。次に横から攻撃して来た男の腕を掴み、自分の方に引っ張って最後の1人からの攻撃の壁に使う。案の定、壁にされるとも、するとも思ってなかったのか、壁にした男の腹に槍が突き刺さる。
「きたねぇぞ!!」
仲間が傷ついたことで怯んだ冒険者達にフラージュは1人1人に石突で鳩尾に突きをしていく。止まっていたため簡単に入れることが出来ると全員が気絶して地面に倒れる。
意識が残っている腹に槍が刺さった男の前にフラージュは移動する。
男が睨んで来るが、フラージュは関係無しに取り出した回復薬を傷口に掛ける。そのことに男が驚いている隙に頭を蹴りを入れ気絶させる。
「ごめんね。兵士に連絡してもらって良い?」
振り返って仮面を外しながら言うフラージュの言葉を聞き、ギルド職員たちは忙しく動き出した。
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