第188話
ここまで急ピッチでダンジョン探索を進めてきたため、数日間休みとなった。そして、この休みの終わりと同時にラウラとフラージュが交代することになっていた。
この街に来た時同様に楽しくカイ達は遊んでいたのだが、その時よりも街の空気は重くなっていた。
それもそのはずだ。カイ達がダンジョン探索をしている間に裏組織の動きが以前よりも活発になってきているのだ。そのおかげか最近では逮捕者もぞろぞろ出て来てはいるが、未だに組織の中心人物を捕まえるどころか認識すらできずにいた。
最初はそんな空気に深いに感じていたカイ達だが、観光をしている内に忘れ、今は昼食を取っていた。
アルドレッドが手洗いに行くために席を離れると、5人の元に近づく影が2つあった。
「おっ!そこの君たち達綺麗だねぇ~」
「俺達と面白いことしな~い?」
カイ達より2歳ほど上に見える少年たちがミカとルナとラウラにナンパを仕掛ける。
「ちょっと、あなた達何なのよ」
「おっ、おねぇーさんもキレーじゃん!一緒に遊ぼうぜ」
「あのー、困ってるんで止めてください」
3人とも迷惑だと言ってナンパを追い払おうとしたがしつこく絡み続け、痺れを切らしたセレスが間に入るが標的に入ってしまう。
ここまで見ていたカイも我慢が出来ずに話しかけると、カイのことをいきなり殴りつける。
だが、2人とも素人に毛が生えた程度の腕前なため、カイは膝の後ろを蹴り立てなくさせてから殴って来た手をひねり拘束する。
「止めてもらって良いですか?」
「な、なんだよ!いてぇな!離せよ!」
「俺達が口説こうが関係ねぇだろ!何なんだよ!クソが!」
男達が大声を上げ始めたためカイ達に注目が集まる。それでもカイは男達の手を離さない。
カイが止めるように言うが、男達の口数が一向に減らないためカイは腕にかけている力を強める。
「お、おい!折れるって!」
「俺達がエビドの構成員だって知ってやってんのか!?」
聞いたこともない組織にカイ達は不思議に思うが、セレスだけはエビドと言った男の胸倉を掴む。
「あなたエビドと言ったわね?本当にエビドの構成員なの!?」
「あ?そうだよ!こんなことしてただじゃ済まねぇぞ!」
セレスに聞きたいことが出来たためカイは男達に掛ける力をより強め、地面に伏せさせる。何か吠えようとしたが、カイが腕をひねる力を強めると黙った。
そして、皆が知りたくなったエビドのことをセレスに聞く。
「私も名前しか知らないけれど、エビドって言うのは帝国の中で一番大きかった裏組織、反国家組織よ。とっくの昔になくなった組織のはずだわ。つぶしたのは…」
「シャリアのばぁさんだ」
後ろから声がしたため振り返ると、アルドレッドが男を引きずって戻ってきたいた。
「それどうしたのよ」
「何か絡まれてな。エビドに入らねぇか?なんてほざくから持って来た」
アルドレッドが引きずって来た男の顔を見ると腫れており、気絶していた。
「エビドっつのはシャリアのばぁさん…シャリアさんがつぶした組織だ。確か50年くらい前にな。本部を1人でつぶしたとかで話題になったって本人が言ってたぞ」
店員に言って縄を貰い、男達を縛りながらアルドレッドが喋り続ける。
「まぁ、あの人はボスがそれなりに強くて面白かったって話してたけどな。そん時、組織の中枢の奴は全員しっかり捕まえたって言ってたから、名前を借りただけか、残党がいて再興させようと考えてるかだな」
縛り終わったため、勘上を済ませてから全員で店を出る。
「とりあえず、こいつらを詰所に届けて話し聞くぞ。こんなチンピラどもがいるってことは兵士達も情報を抑えてんだろ」
カイ達は詰所に向けて歩を進める。その間ずっと男達はアルドレッドが引きずって運んでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます